蛇と天秤 公演情報 パラドックス定数「蛇と天秤」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    社会派エンターティンメント芝居にドキドキ
    もう!!野木さんのセンスには、今回も脱帽!!

    戯曲を書く段階から、きっと会場選びも、視野に入れているのでしょうね。

    話だけ追えば、かなり心痛になりそうな内容にも関わらず、遊び心が随所にあって、深刻な中にも、どこかワクワクする感情が芽生えてしまいます。

    「東京裁判」や「棄憶」同様、言わばドキュメンタリータッチの筋立てでありながら、登場人物一人一人の深層心理まで焙り出して行くような、野木さんの筆致には、ただただ感嘆するばかり。
    そして、それを、まるで、やはりドキュメンタリーのように、芝居とは思えない所作や表情、言い回しで、リアルな人間像を見せて下さる、役者さん達の力量が、これまた、尋常ならざる表現力で、圧倒されるばかりでした。

    野木さんが、当パンで書いていらっしゃる通り、今まで拝見した作品よりは、数等ライトな印象でした。
    こんな、社会派の深刻な題材を、こんなにライトな感覚で、照射できる劇作家兼演出家は、きっとなかなか見当たらないと思います。

    パラドックス定数の舞台は、今後も、万難を排して観に行きたいと、強く思わせられる、刺激的な作品でした。

    ネタバレBOX

    細部に亘る、作演の野木さんの、頭脳明晰な工夫の数々に、終始ワクワクしながら、見入っていました。

    内容は硬派なのに、何故か、デイズニーランドの参加型アトラクションを観る様な、高揚感がありました。照明の使い方も、実に効果的!!

    声高に正義を主張するわけでもなく、どの登場人物の思考や行動にも、人間の持つ、身勝手さや、出世欲、保身、嫉妬等、リアルな味付けが、戯曲・演出・役者の表現力に助けられて、観客の目の前に、自然に露呈されるので、本当に、実際のドキュメンタリー番組でも観ているような錯覚に陥る時が何度もありました。

    パラドックスの役者さんは、憎らしい役の方は、本当に憎らしく思えるし、その人が苦悩し、揺れ動いていると、こちらの感情までが、波長を合わせて波立つし、とにかく人間業とは思えない技量の持ち主ばかりで、いつも、度肝を抜かれる思いがします。

    とにかく、パラドックス定数未体験の演劇人には、是非一度体感して頂きたくなる、類稀な劇団です。

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    2010/11/12 02:43

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