ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス 公演情報 公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団「ドント・ルック・バック・イン・マイ・ボイス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「手練れのキャストによる秀逸な会話劇」

     ある長寿アニメのアフレコ現場を舞台にしたコメディである。

    ネタバレBOX

     1960年代末、新人俳優の小山笑子(西出結)は新作アニメ『ぼーっとぼー子』の主役に抜擢される。脇を固める先輩たちの前で萎縮する笑子だったが、周囲の後押しで主役を演じ続け、いつしか『ぼー子』は40年以上にわたり放送が続く国民的長寿作品になるのだった。収録を重ねるなかで結束を深めるキャストたちだったが、年齢や声のイメージなどを理由にひとりまたひとりと去っていき、そんななかでも笑子は頑なにマイクの前に立ち続けるのだった。

     上記を大枠に本作は手練れの出演者たちがボケとツッコミの会話を重ねながら展開していく。初日ゆえかところどころセリフにつまる箇所が散見されたが、会場は沸きに沸いていた。包容力があるもののアメリカ帰りゆえところどころおかしな日本語を話すベテラン中島詩子を演じた髙畑遊の大きさ、気取り屋が鼻につくものの家族を養うために不本意ながら成人向けアニメに出演するような藤本康治を演じた東野良平のコメディアンぶりが特に印象深い。

     作者が腕によりをかけたセリフとよい座組に恵まれた本作に私が今ひとつ乗り切れなかったのは、シリアスな場面でもボケとツッコミが入るために登場人物の描き方の底が浅く、メリハリの薄さが目についたためである。自信なさげな笑子が他の登場人物のボケにだけは的確にツッコミを入れるという造形も、役の性根とはズレているように見えた。終盤、『ぼー子』のオリジナルキャストのなかで最後にひとり残った笑子が、スタッフに思いの丈をぶつける場面などよくできていただけ残念である。

    0

    2025/10/04 21:53

    0

    1

このページのQRコードです。

拡大