公演情報
名取事務所「砂漠のノーマ・ジーン」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
内容と作品名の対応がやや不明なところはあるが、作品を拝見すると、
この作者は少なくともここ数年の名取事務所の上演作品群をよく
観劇されている模様。
観るものを次第に前のめりにさせるニコラス・ビヨン張りの
スリリングな展開力やピンク地底人3号的な時空軸の巧みな操作術
などを駆使して、緻密な構成力の下、約1時間50分を駆け抜ける。
劇構造も重層的で、最近観た作品だと文学座の
『もうひとりのわたしへ』に近いものがある。
ただ、その分、演じ分けは噺家同様に、
声色、しぐさ、顔(体)の向き、表情、言葉遣いなどを
巧みに使い分ける極度の技量が要求されるが、今回は、
十分観る側の想像力を刺激し、役柄が目まぐるしく
連続的にスイッチイングしている中にあってたとえ登場人物の声色が?
ということがあっても、観る側が活性化された想像力を働かせ
よく料簡しその不具合を乗り切れるだけの勢いやパワーが俳優側に
備わっていた気がする(今回は一人でのスイッチプレイだが、
以前トラムで上演された『レディエント・バーミン』では
確か昂進する目まぐるしさの中での二人のスイッチプレイの応酬だったか)。
言語学者役の俳優の方もネイティブでないにもかかわらず
あれだけ英語のセリフが出てくれば立派で(それゆえ、英語が
あまり得手ではない者にもそこそこ内容が聴き取れるのだが)、
また、通常は日本語と英語の情報量の違いからどうしても
早送りになる日本語字幕の追従に気を取られ観劇がおろそかに
なりがちになるが、今回は俳優の演技を観つつ英語のセリフを
聴き取りながらなおかつ字幕で内容を再確認できる点で
オペレーターの方の字幕の送り方のタイミングも絶妙。