草創記「金鶏 一番花」 公演情報 あやめ十八番「草創記「金鶏 一番花」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    【満月】:金原賢三役:藤原祐規/ 坂東天鼓役:宮原奨伍

    2回目。
    沢山の角材に混じって沢山のブラウン管TVが潜んでいる。

    作品的に大好物というわけではないのだが、もう一回観たいと思わせる中毒性。今観終わったばかりなのに。作家は頭の中で思い付いたアイディアの実現の難易度が高ければ高い程興奮するタイプなのだろう。作家と観客との想像力の知恵比べ。これは戦いだ。作家がここまで頭の中身全部ぶっ込んで勝負してるのに観てる方も負けてはいられない。覚悟して観る。後に伝説になると思う。金払えばこれが観れることに感謝すべき。

    金子侑加さんには何かしら賞を捧げないとまずい。『二番花』でふっくらしていたのも、今回の役の為の振り幅だろう。本当に何か憑いているんじゃないか?

    ネタバレBOX

    影絵の汽車。
    遊び仲間の松井愛民(あみん)さんが可愛かった。
    佐渡玄太役の藤尾勘太郎氏は要所要所で大活躍、物語の緒を締める。天下無双のとっちゃん坊や。
    アコーディオン、島田大翼氏の美声。

    北沢洋氏演ずる坂東天五郎がカッコイイんだよね。彼を主人公に観たかった。歪んでらあ。末代までお狐様と付き合う覚悟。「狐〜!当てやがったな!息子を頼んだ!」
    弟子の坂東文七(小林大介氏)との遣り取りもカッコイイ。「ここからは生き死にですよ。」
    小林大介氏はスマトラの鬼伍長、大蔵大和役も兼ねる。彼こそ二番花で内田靖子さんが演じた大蔵ハナの兄。

    妖しく光る水ヨーヨーを突いた狐面の子供達、そこらここらにぼうっと浮かび上がる。
    「狐の提灯、ぼうっ」との唄声がこだまする。
    森の奥深く坂東天鼓(宮原奨伍氏)は夢遊病者のように歩き続ける。夜空に浮かぶ巨大な満月。

    高熱に浮かされ、生死の境を彷徨う金原賢三少年(今村美歩さん)。母(藤吉久美子さん)はどうにか助けてあげたくておろおろする。そこに深夜の闇を切り裂くような一番鶏の高らかな鳴き声。飼っている鶏のサチ(中野亜美さん)だ。「お前を応援しているんだよ。頑張れって応援してくれてるんだよ。」その声に導かれて少年は回復し命拾いする。サチはずっと少年を見守り続ける。

    悪戯好きの捻くれた狐(金子侑加さん)は坂東天五郎(北沢洋氏)の家に貰われる。魔性の技で三流歌舞伎役者に稽古を付けてやる。その6歳の息子が生死の境を彷徨う病。狐に命乞いをする天五郎。救ける代わりにその子を寄こせと要求。苦渋の決断を迫られる天五郎。

    日本中皆、狐に憑かれたように戦争に邁進していく。どうにも人が変わってしまったかのように。

    歴史には残らない狐と鶏の戦い。誰も知らず誰も信じない話。でもそれは本当のこと。

    見立て
    箸 色鉛筆
    お茶碗 折紙
    レンゲ 金魚すくいのポイ
    歌舞伎の筋書 凧 
    米 おはじき
    お茶 重ね独楽
    スコップ 虫取り網
    けん玉もあった。
    ナタは羽子板の形状。

    「私はこれ程美しいものを見たことがございません。」
    金子侑加さんはタイBL(ボーイズラブ)をこよなく愛するYガール(腐女子)なだけに台詞が真に迫る。タイ製作のBLドラマは高品質で世界的に人気となっている。

    「ままならん、どうにもままならん。」
    後頭部に上下逆に狐面を付けた金子侑加さん、頭を下げると狐になる。四つん這いで裏声の狐と久連子益次郎を同時にこなす。

    昭和21年3月16日に起きた十二代目片岡仁左衛門一家殺害事件がモデル。薪割り用のマサカリで親子3人と使用人、子守りの5人が早朝午前6時頃殺された。座付作者見習いとして住み込んでいた飯田利明が逮捕される。減刑を狙って「食の恨みだ」と供述したが、その後金目的であったと獄中から遺族に詫び状を送った。無期懲役の判決を受けたが1960年代に恩赦で釈放されたらしい。

    ※自分が先行予約した時には【彗星】と【満月】の区分けはまだなかったと思う。こうなると【彗星】観たかった!

    ※佐藤弘樹氏は顔の系統がBreakingDownのSATORUっぽい。

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    2025/09/28 22:08

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