公演情報
あやめ十八番「草創記「金鶏 一番花」」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
「音楽劇 金鶏 二番花」の前編にあたり、「テレビジョンの研究/開発」と「戦争」、それを虚実綯交ぜにして描いた記憶劇のよう。この2つのテーマは同時/並行するように描かれ、戦後になって物語が収斂していく。テーマを暈けさず、それぞれの伝えたいことを鮮明にする上手さ、そこに この公演の魅力がある。
当日パンフに、代表の堀越 涼 氏が「テレビジョンと戦争と歌舞伎。三つを並べた時、ようやく物語は動き出したように思う」と記している。テレビジョンに関しては、前作でも本作でも語られている。金原賢三(高柳健次郎がモデル)が子供の頃、ハレー彗星の接近により人類絶滅といった噂が流れた。彼は 母に死ぬ前に何がしたいか尋ねたところ、「歌舞伎がもう一度観たい。(浜松から)東京へ観に行くにはお金がかかる。歌舞伎の方からこっちに来てくれれば」という 母の思いを叶えたい。そんな素朴な思いから始まった。最初のテレビ番組は舞台劇「道行初音旅」<歌舞伎化>の中継。それを本作では賢三の故郷(浜松)に因んだ「白浪五人男」ならぬ戦時中の「スマトラ五人男」として描く。
物語が進むにつれ いろいろな場面が関連してきて、良く出来た脚本だということが解る。そして あやめ十八番といえば照明や音響/音楽といった舞台技術、特に生演奏は物語を引き立てる。本作は、戦時中の野戦軍楽隊(トランペット・ピアノ・アコーディオン・ユーフォニアム・ヴァイオリン、衣裳も軍装)としてその役割を担っている。
(上演時間2時間45分 途中休憩10分)【彗星】