【終了!】B4 paper books【ご来場ありがとうございました!】 公演情報 劇団パラノワール(旧Voyantroupe)「【終了!】B4 paper books【ご来場ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ザ・プレミアム
    「白の章」を観た。短編とは言いがたい濃厚かつ芳醇な物語だった。とっても素晴らしいと思う。ともすれば、1時間公演として1本で立ち上げてもなんら問題ない舞台を2本も観られるのだから、お得感、満載なのだ。
    それにしてもちっさい身体で主役をハル川添美和の体力たるエネルギーはいったい何処から?こちらは集中して観てるだけでへとへとだった。笑

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    第一話H+(トランスヒューマニズム)
    舞台の中央に設置された赤い枠の大きなキャンパスが衝撃的。斬新かつ壮美だ。舞台そのものが一つの生きて蠢く絵画なのだ。エゴンの絵画に描かれた人たちが絵から抜け出して一人歩きし、勝手に物語を貢いでいくが、その描写はコミカルな鼓笛隊でも観賞しているようなさまでとりわけ楽しい。

    そんなエゴンが描いた裸婦像「ナジャの肖像画」にすっかり魅せられて魂を鷲掴みされてしまったロベスピエールは、今まで高潔すぎるほど潔癖に生きて来た己の人生を否定するかのような自分のエロティシズムの心を発見し戸惑うのであった。しかし肖像画のナジャはロベスピエールを誘惑するかのようにいつ観ても魅惑的で妖しいのだ。

    彼はナジャが発する言葉や行動を夢想するのだが、そんな世界に嵌りそうになる自分自身を律するためにもエゴンを断頭台に送ってしまう。

    エゴンの心の葛藤を描いた物語。演出も導入音楽も素晴らしい。そして描く世界感は芸術的だった。



    第二話ニヒリズムの肖像
    大学のマドンナだったアグリルは処刑人一族と婚約すれば爵位が与えられ貴族としての生活が保障されるという理由からザッヘルと婚約するも、アグリルの強すぎる正義感から、その地位を失ってしまう。アグリルは元来、性根の腐った貴族を嫌っていたが自分が貴族になることで世の中を少しずつ変えようとしていたのだった。

    しかし状況はアグリルに不利になり理不尽ながら処刑されるはめに陥ってしまう。牢に監禁されたアグリルを肖像画に残そうとルイは描き始めるが、この時のアグリルの心境とアグリルを密かに想い続けていたルイの心境の交錯が絶妙だった。思わず落涙。ルイは後に政治家になってアグリルに約束したように世の中を変えようとする。


    以上、物語2つ、ひじょうに濃密な時間だった。あまりにも有意義な時間を過ごして本当に幸せな気分!
    お勧め!

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    2010/11/06 18:15

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