オズの魔法使いによろしく 公演情報 中央大学第二演劇研究会「オズの魔法使いによろしく」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     可成りストレートに時代を若者視点から描く。背景には時代の闇も、その深さと処置の難しさも透けて見える処がグー。

    ネタバレBOX


     板上は奥に暗幕。暗幕の真下には30㎝程の高さの黒い平台、幕が開くと黒い平台の上には下部が黒く上部が真っ赤な二回りほど小ぶりの平台。正義マンが現れる時などに使われる。
     暗幕の手前の下手・上手には階段状の切り込みを入れ斜めに延びた衝立が見えるが各々が袖として用いられ下手の袖は地の色が白、上手の袖は地の色が黒でシンメトリックに配置されている。各々の文様は刷毛で掃いたような抽象的文様が描かれその色は下手の物には黒っぽい色と赤で表装が施され、上手の物には白とブルーが用いられて衝立の形態で対称性を強調すると共にその微妙な差異を描かれた文様の色彩的差異で示してもいる。場転場転でグレーに着色された箱馬が用いられるのも物語の内容に即し見事な感性である。無論、平台の色、黒と赤の使い分けも物語を象徴している。
     肝心の物語は高2の女子・ドロシーが、ブリキ先生から進路指導を受け成績も良いのに何をしたいか決められない。モラトリアムから抜けられない事を中心に展開する。彼女の父は教師だった。多くの生徒たちから感謝され御礼の手紙が束になって幾つも残って居るほど生徒から尊敬され愛された教師であった。然し理由は明らかにされないまま自殺だったとの風評が流れていた。現在は母と2人の母子家庭である。ブリキ先生の推しは、決められないなら一先ず大学進学してみたら・・・であったが、彼女はそれを受け入れられない。母と2人の母子家庭で大学に通うことは母の負担が過重になることだと考えているからである。ところで、ブリキ先生はドロシーの父・山田正義に憧れて教師になり、生徒指導の指針には正義というコンセプトを以て当たっている。父没後可成りの年月が経つにも関わらず未だに墓参りをしてくれる教師である。一方父の親友だった獅子尾は警察官になっては居たが自らの勇気の無さが親友を死に追いやったと未だに悔やみ正義の墓参りを欠かさなかった。
     また高校の先輩・案山子田はドロシーがバイトをしているコンビニで矢張りバイトに入ってきた大学中退者だが高校時代の成績は可成り良かったにも関わらず現在は何をやってもミムメモ(間が抜けていて)で結果主体性を確立できずに他人からこき使われるだけの人間に成り下がってしまっている。心をドロシーと通わせることのできる友人は同級生の凛子とその彼氏の金治くらいのものだが、積極的に何かをしたいという目標も持てないドロシーに彼氏は居ないのでカップルの世界には入って行けない。こんな八方塞がりの中で進路は決めなければならない。期日は迫っているのだ。そんな中、時代はライン等で簡単にカップルの相手を見付けることができるようになっていた。凛子カップルの友人に速見というサブカルの一ジャンルに矢鱈詳しいオタクが居てレア物の収集も情報の多くをネットから得ているようであり時代の躍動は何となくプラスに映ったのかも知れない。ドロシーはライン系を使って或る男性と知り合いデートを重ねるようになったが・・・。物語は急展開、果たしてドロシーの運命や如何に? この結末は実地に観劇して確かめるべし。
     全体を通して自分の感じたことは終演後に追記する。

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    2025/09/13 20:17

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