われわれなりのロマンティック 公演情報 いいへんじ「われわれなりのロマンティック」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/09/04 (木) 14:00

    いいへんじは、2017年8月の『パパ』から拝見している。これまでのベストになった、丁寧に作られた作品だった。

    最後に題名の『われわれなりのロマンティック』が背面に浮かび上がって来た。この言葉に納得する自分が居た。あっ、ここまでの物語がこれだと納得している自分に、うんうんと頷く感覚だった。

    アフタートークで石黒麻衣さんの演出、演技を肯定する発言に、主宰/作/演出の中島梓織さんが、下手袖を振返り「ほら、良いって言ってくださっている」的にそれを演者/スタッフ(なにせ隠れているので誰がおられるかは推測ですが 笑)に手を振り、語り掛けた姿に、この作品の創作過程を垣間見る様で、納得出来るシーンだった。

    ロマンティックって、もう自分で持つ感情ではない、いや、もう長いことその感覚を持つことはなかったと、観る前に思っていたのだけど、拝見しながらみんなのロマンティックをびしびし受け取り、お、そうか、まだそんな感覚を共感出来るんだと思った。

    古希を過ぎた爺なので、家長制度の中に生まれ、生きて来て、性差は性差そのモノの形で区別され、茨城じゃあないけど、父母の故郷は田舎で、そういう中で育って、シス ジェンダーでヘテロ セクシャル、妻が居て、子供達も居る。環境が変わって来て、知識としてジェンダーフリーについて認識を持ち、感覚、思考としてもそう在る様になって来たと自認している。

    この作品を拝見しながら、それを受け入れながら拝見した。それぞれの在り方は在って、でも何かのアクションを取る時は、その時点での発露であって、それが正しいかどうかは判らない。あとから思えば間違った行為を取っていたのかも知れない。その10年間の積み重ねはそのまま舞台に在った。それには納得するしかなく、受け入れることしかできないのだから。なので、あの物語が完璧な姿なのかと言うとそうで無いところはあるだろう。区別と差別が思い浮かび、今世界で、そして日本で台頭し、日本人ファーストと言う言葉で差別する社会が透けて見えた。

    演出も、それに応える、一緒に創られた俳優達も素晴らしかった。それぞれの在り方が前提で、それに基づいて展開する構成も良かった。舞台美術も、高さと奥行が使われ演出とマッチ。ソファーと、二つの出入り口、それが並ぶことでこれからのシーンが二人の隣合う部屋なのか、相対に配置すれば部室などとガイド役を担っているのも良かった。

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    2025/09/07 12:52

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