満足度★★★
事件の後の砂漠。
僕が初めて、
「オルグ」
という言葉に出会ったのは、
16歳の時、
この演劇の参考文献の一つを読んだ時だった。
その時は、
残存部隊の最年少と同い年だったということが、
僕には衝撃的だった。
20歳になった今、
この演劇を観て、
やっとオルグを理解できたような気がする。
簡単に言うと「オルグする」とは、
左派同盟に勧誘することである。
ただ、その説明では補えないほどの、
とりこぼしている意味がたくさん存在していた。
あさま山荘事件をテーマにする上で、
特殊な言葉が存在する。
「殲滅戦」、
「共産主義化」、
「自己批判」、
そして「オルグ」。
そんな言葉に違和感をもつのは、
当たり前のことである。
僕たちは日常的に使わない言葉を、
言葉として認めていないからだ。
本公演冒頭から出てくる、そんな言葉達も、
ギャラリールデコという山荘に閉じ込められてしまった僕は、
上演時間110分の後半には、
何の違和感もなく受け入れていた。
これこそがオルグなのだと思った。
その世界に閉じ込められた人間は、
その世界の言葉、信念を受け入れなければならないのだ。
その世界がねじれているかは別にして。
そういう意味で、
僕にとって、
チョコレートケーキは、
甘すぎて、苦すぎた。