起て、飢えたる者よ 公演情報 劇団チョコレートケーキ「起て、飢えたる者よ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鎮魂歌たりうる力作
    ギャラリーなどでの番外公演は、一般的に本公演よりライトな感じの企画が多いのだけれど、チョコレートケーキの本作は違う。本公演と遜色ない1時間40分の力作。会場の特色を味方につけ、緊迫感に満ちていた。
    作品のモデルになった事件と同時代に生きた者として、これは彼らへの鎮魂歌たりうる作品だと瞑目した。
    あの時代を知らない若者にも観てほしい作品です。
    俳優の演技、脚本、演出、どれをとっても素晴しい。
    今回も古川・日澤コンビにしてやられました。
    紅一点の客演に蒻崎今日子を起用するなんて、心憎くてもう泣くしかありません(笑)。

    ネタバレBOX

    「自己批判、総括、ナンセンス」は当時、あの時代を代表する3大流行語の感があった。
    自分は、連合赤軍側の視点で映像化された作品は怖くて観ていない。
    今回の劇中で起こった惨劇は、実際のあさま山荘事件の史実とは異なるもので、全くのフィクションなのだが、彼らの会話を通して、彼らがめざし、見失ったこと、焦燥感、挫折感がひしひしと伝わってきた。演劇ならではの効果が感じられ、観終わって身震いするような感動が残った。
    出演者の演技は全員鬼気迫るものだったが、岡本篤演じる坂上弘という人物の深さが忘れがたい。
    また、山荘の管理人の妻が最初は恐怖心から萎縮し、戸惑っているのに、だんだん同化し、彼らの同志のリーダー的存在だった永山寛子(モデルはあの永田洋子)が憑依したかのように変貌していくさまを演じ切った蒻崎が素晴しい。
    以前、TVの報道番組「ニュース23」であったか、筑紫哲也があさま山荘事件で当時最年少だった元活動家・加藤倫教にインタビューしたのを見たことがあるが、本作の江藤兄弟(西尾友樹、菊池豪)の姿に、思わずあのときの加藤氏の述懐の様子を重ね合わせて胸が締め付けられたほど、真に迫っていた。
    脚本・演出をそれぞれ担当しながら、古川健、日澤雄介は俳優としても重い役を演じているのだから凄い。
    劇団チョコレートケーキはいったいどこまで登り詰めていくのか、末恐ろしくも楽しみである。

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    2010/10/29 12:47

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  • かものはしさんへ

    コメントありがとうございます!
    スミマセン、妄想を書いて(笑)。
    永山が憑依したかのように、みるみるうちに表情が変わっていく蒻崎さんの演技は本当に素晴しく、黒曜石に囲まれたルビーのように見えました。なぜか、その蒻崎さんを見ているうちにザンヨウコさんが二重写しになってきて・・・(笑)。
    私はあの当時、永田洋子という人に関する記事をわりと読んでいたのですが、高校時代はおとなしくてはにかみやで目立たなかったという証言もあり、ふつうの娘さんがだんだん女闘士へと変貌していき、平然とリンチを命じるようになっていく、そのあたり、ザンさんでも観たい気がしました。
    ザンさんが本来持っているユーモラスな部分を切り捨てて、怨念を演じたらどうなるかしら、と。
    このお芝居がWキャストだったら、チョット豪華すぎますかね?(笑)

    2010/11/05 20:16

    おおおお、わかります!
    ザンヨウコちゃんいいですね!www
    わたしも、仲良しで、大っ好きな女優さんです!

    素敵なコメントありがとうございました!
    遅ればせながらコメントすみません。

    2010/11/05 12:39

    ゆーすけ様

    ありがとうございます。

    >客観的な視点は、もしかしたら作・演出が別人だからかもしてません。
    ウチは作るときに、作家は演出プランを考えずに、演出は台本の転換等テクニカルなところは勝手にやっているのです。

    なるほど、そうなのですか。
    作・演出家が別でも、作家の主張をより強調するような演出で、閉口するケースもあるので(笑)。
    チョコレートケーキさんはそれがなく、作家の主張が心地よくストレートに迫ってくるので、いつも感心しています。
    これからもますますのご活躍をお祈りいたしております。

    2010/11/01 01:27

    有難うございます。
    客観的な視点は、もしかしたら作・演出が別人だからかもしてません。
    ウチは作るときに、作家は演出プランを考えずに、演出は台本の転換等テクニカルなところは勝手にやっているのです。
    ある意味、一人の頭だと偏りがちなモノをお互い客観的に作れているのかもしてません。

    きゃるさんのコメントにはいつも励まされます。
    期待に応えられるよう、奢らずやって生きたいと思います。

    2010/10/31 03:27

    ゆーすけ様

    ふだん、私はル・デコで長時間物を上演するのには反対なんですけれども、この作品には負けてしまいました(笑)。本当に素晴しい。おっしゃるように単なる再現劇ではなく、あの事件と切り離した心理劇として楽しめる点もあるんですよね。また、解説資料が添付されているのも親切だと思いました。
    チョコレートケーキに感心するのは、感動作でも押し付けがましいところがまったくないことですね。客観的視点をきちんと抑えている。これは重要なことだけれど小劇場系劇団では本当に稀有なのです。
    古川・日澤コンビは最強だと思っています(笑)。そして、お2人とも他劇団に俳優として客演するときは軽妙な味を出しておられて、こちらも楽しませていただいてます。
    山荘の妻はもしWキャストが許されるのなら、ザンヨウコさんでも観てみたいです。というのは、以前から永田洋子のイメージに合ってると思っていたので。
    もし、古川・日澤コンビで同じ時代背景の別の作品を作ることがあれば、ぜひ、ザンヨウコさんの永田洋子(永山寛子)役をキャスティングしていただきたいです(笑)。
    ともかく、本作は劇団の記念碑的代表作と言えましょう。

    2010/10/30 11:20

    いつもコメント有難うございます。
    僕は、あの頃の記憶はないし、(生まれてないので)でも、すごい時代で、忘れてはいけないと思いました。

    蒻崎さんはもともと素敵な役者さんなので、別の顔を引き出せればと思い演出しました。
    楽しんでいただけたのなら嬉しいです。

    ご来場有難うございました。

    2010/10/30 03:11

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