本作では、演じている役者の背景が人間界(裏舞台)、そして荒唐無稽な振る舞いを妖精界(表舞台)、婚礼を祝う職人たちは、劇中劇の登場人物といったところか。ラスト、いたずら好きの妖精パックが「舞台は夢と同じ」と語りだす。舞台の淵に立って、そこを境に内側にいる役者はいつも重労働。表舞台では生きる喜びを歌い上げても、幕の裏では涙する と。舞台人の哀歓を「夏の夜の夢」を借りて描き出しているよう。汗と涙を流した稽古、本番は無我夢中、終わってみれば泡沫の夢のよう、まさに舞台そのもの。悲劇として有名な「ハムレット」、その台詞「To be, or not to be: that is the question」は 二者択一という厳しい状況だが、祝祭性を表す喜劇は 何でもありの世界。この柔軟な発想が 舞台によく表れており、それが魅力とも言えよう。 次回公演も楽しみにしております。