神様さん 公演情報 MCR「神様さん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    構造の明確さを支える力
    セットといい、キャラクターの設定といい
    あからさまなほどに明確。

    わかりやすいのに、
    残る想いに掴みきれないほどの広がりがあって・・。

    その世界観にどっぷりと浸りこんでしまいました。

    ネタバレBOX

    場内に入ってびっくり。
    客席が地についていないし
    舞台も立体化されたような3層構造。
    なんというか「百聞は一見にしかず」的な
    セットが組み上げられている。
    横にはDJブースが設えられて
    開演前から放送的な<パフォーマンスがあって
    場内の時間に実存感がうまれていきます。

    最上階の女王たちの世界の
    ちょっとシニカルなデフォルメ、
    嘘っぽさのなかで不思議にとても瑞々しくて・・・。
    その世界の説得力が
    物語全体を生き生きと動かし始める。

    落書きのような絵を描く中間層の画家や
    メディアの世界にしても
    芋煮会をする下層の世界にしても
    観る側を得心させるだけの
    ニュアンスが込められていて。
    作り手が綴り上げる寓意たちの洗練に舌を巻く。

    世界がためらいながらも交わる中で
    それぞれから滲みだす
    ペーソスにじんわりと浸されていきます。
    舞台上の噛み合わない想いの重なりと距離感に
    おかしさを纏ったとてもピュアな感覚が
    姿をあらわして・・。
    キャラクターたちに浮かび上がる心情に
    柔らかく掴まれる。

    成り行きから女王様に謁見した男の
    ファン心理に近いような想いや、
    その想いに恋してしまう女王の純真さは、
    それぞれに巧妙に薄っぺらいのですが
    それらは、キャラクターたちの不思議な実存感と
    想いの普遍性に裏打ちされていて
    すっと観る側に入り込んでくるのです。

    終盤、女王様の、
    けれんにも思える、
    チョロQを彷彿とさせる戻り方があざとくならないのは
    構造が舞台装の外連に頼るだけではなく
    個々の立ち位置や抱えるものが
    密度を持ってしっかりと描かれているから。
    演説での女王様の突き抜け方にしても
    絶妙にご都合主義でウェルメイドな物語の納め方にしても
    そこまでの
    登場人物のキャラクターについてのこまかい描き方があるから
    出来ること。

    よしんばチープでラフな童話のような質感であっても、
    恣意的にはみ出し感を持った
    デフォルメがほどこされていても、
    個々のシーンでの登場人物たちの心情の解像度に
    観る側を浸潤するがっつりとした力があって。
    舞台に設えられた3段のステージを
    キャラクターたちが行き交うとき、
    踏み越えることの高揚と、
    踏み越え得ないものからやってくるペーソスが
    そのまま観る側に流れ込んでくるのです。

    貫き通されたデフォルメのなかで
    切れ味と豊かなニュアンスを同居させる
    役者達のお芝居に
    ぐいぐいと引き込まれてしまう。
    それぞれにキャラクターの色を
    もう一歩踏み込んで押し込んでくるような力があって、
    気が付けば、ふっと今を俯瞰するような感覚が
    観る側に置かれている。

    MCRワールドの魔法に
    大きく立体に組まれた舞台がさらなる力を与えて・・・。
    あっという間に時間が流れ
    終ってみれば、
    その世界に深く取りこまれておりました。

    観るたびにある種の嵌り感に囚われる・・・、
    MCRの魅力を
    今回もしっかりと感じたことでした。

    ☆☆○★★★◎◎△

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    2010/10/28 19:27

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