糸洲の壕 (ウッカーガマ) 公演情報 風雷紡「糸洲の壕 (ウッカーガマ)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/08/17 (日) 14:00

    座席1階

    先の戦争でも凄惨極まる沖縄戦を描いた。舞台は糸満市のウッカーガマ。陸軍の野戦病院となり、ここで看護師として働いた「ふじ学徒隊」の女学校生徒たちの群像劇だ。

    野戦病院を率いた小池軍医が、米軍上陸舞台が迫り病院を放棄した際、「君たちには生き延びてここであったことを伝えてほしい」と自決を強いなかったことで働いた女学生の大半が生き残ったことで知られている。日本軍は国民を守らないどころか盾にもしたという沖縄戦の中で、こうした異例と言える上官の振る舞いが舞台のメーンとなっているのは当然だろう。だが、ウッカーガマは元々、付近の住民が先に避難していた場所で、軍は彼らを追い出して野戦病院にしたということなどを忘れてはなるまい。そうした点で、命を賭して軍に協力するのは当然と学徒隊への志願を迫る教師の存在など、国民への同調圧力もしっかり描かれていたのはよかった。
    なぜ、長野県佐久市が後援になっているか不思議だったが、小池軍医は同市の出身なのだそうだ。彼の故郷の話も描かれていたのだが、舞台の一貫性からみると浮いている感じがした。小池軍医の振る舞いが立派なのは、佐久市とは特に関係がないと思うからだ。仮に後援を取り付けるためにこうした構成にしたならば、そこは蛇足だったかなと思う。

    客席は満員で、小学生など多くの子どもたちがいた。学校で沖縄戦を習う前からこのような舞台を見て日本が約80年前に経験した戦争を考えるのは、大変意義がある。アフタートークは客席も参加して行われたようで、こうした劇団の取り組みには敬意を表したい。

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