えがお、かして! 公演情報 四喜坊劇集※台湾の劇団です!日本で公演します※「えがお、かして!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    日本語字幕が入るスペースがあるのだが座る位置によっては舞台上の役者と被って読めない。そこが勿体ない。何処がベスト位置になるのか?

    昔よく観ていた香港コメディ映画と作品の空気感が似ているので物語に入り易い。隅に小さい箱馬を積み重ねた舞台美術。導入部は意外な展開から。

    メビウス症候群は生まれつき顔面神経と外転神経(眼球を動かす神経)が麻痺している疾患。顔の筋肉を動かすことが出来ず表情が作れない。発声はモゴモゴし口が閉じれない為、涎が垂れてしまう。主人公ワン・シャオティエン(シュイ・ハオジョーン氏)は小学校で普通クラスに通うが見た目の異様さから差別され虐められる。このシュイ・ハオジョーン氏の役作りが凄い。顔をピクリとも動かさず能面のような表情で全ての感情を表現する。台詞を伝え更には歌い上げる。時には涙が落ち涎が垂れる。知らないで観ていたら多分障碍のある方だと思っていただろう。今作ではプロローグの場面で別の役を普通に演じていた為、その凄さが際立った。

    父親ワン・クァチャン(ゴーン・ノウアン氏)
    息子の病気に責任を感じ、カナダで手術があると聞いて働き詰めでお金を貯めている。
    母親シュ・シューフェン(リー・シャオユーさん)
    息子は病気ではなく、普通なんだと世間と戦っている。
    姉ワン・シャオティン(ワン・イーシュエンさん)
    いつも弟ばかり大事にされることで傷ついている。

    要所要所に歌が入り家族それぞれが心情を訴え掛ける。

    交通事故に遭い、生と死の狭間の空間から現世を眺めることになる父親。絶対に守り続けると誓った息子は絶望に打ちひしがれ追い詰められてゆく。それをどうにもしてやれない歯痒さ。何とか思いを伝えたい。生き抜く力を与えたい。

    台湾の劇団、四喜坊劇集(フォーファンシアター)主催で作・演出・作詞・作曲まで全てこなした女性、王悅甄(ワン・ユエジェン)さん。当日パンフに書かれた文章が深い。「演劇は“正しさ”を競い合う分野ではなく、“共感”や“想像力”を駆使して様々な人々が語り合う場所である。」「生きることは一つの価値観で優劣を競い合う競技ではない。そのことに気が付く一助になれれば幸いです。」(意訳)。
    作品の意図するテーマは単純なものではなく、ただの難病もの、障碍者ものではない。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    医師、旅行会社社員、隣人他(ワン・ウェイ氏)
    好き放題やって台湾人の観客の爆笑をかっさらった。

    地縛霊(ファーン・ヨウシンさん)
    死んだ者が生まれ変わるまで滞在する場所があり、そこを管理している女性、ファーン・ヨウシンさん。左足首や左手首、二の腕の内側にタトゥーが見える。ヴィジュアルが抜群で華やかな台湾美人。段ボール紙のように見える半袖ジャケットは地図やら新聞の切り抜きやらが沢山貼られている。下手から消えたかと思えばすぐ上手から登場し、この劇場の仕組みがどうなっているのか興味深い。
    実は完全に死ぬまでの間、変身して現実世界に戻ることが出来る裏技がある。姿形は選べない。父親が息子に会いに行く時、何故か女子高生姿のファーン・ヨウシンさんになってしまう。台湾の制服は随分ミニスカ。

    ラスト、亡き父親を訪ねて日本人がやって来る。通常の作品だと救いの手が見つかるものだが、今作は同じメビウス症候群の娘を持つ日本人がただ娘のことを語るだけ。そこがリアル。この物語に必要なものは安上がりなハッピーエンドではない。どうしようもない困難を抱えながらもそれでも日々を過ごしていこうと思う気持ち。「僕には手がある」。

    ブルーハーツ 「さすらいのニコチン野郎」

    マニュアルを読んでるうちに今日もまた陽が沈んでく
    誰のせいにもできないよ 希望はいつも隣に座ってる

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    2025/08/16 16:06

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