ARCHIVE 公演情報 END es PRODUCE「ARCHIVE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    人の加虐的な性向ー半ば強制的に「(童話再現)メルヘンゲーム」へ参加させ、鑑賞して愉しむといった悪趣味的な(☜褒めている)俯瞰劇。ダークファンタジーと言ってもよい。何となく秘密倶楽部で行われているような見世物といった感じでもあるが、そこは別の次元という設定が妙。

    説明にある、隔離された空間で 莫大な賞金を手にするために、童話を再現する事でクリアできる生死をかけた「メルヘンゲーム」の幕が上がる。物語の内容は勿論、キャストのビジュアルとともに、その観(魅)せる光と音の演出が実に効果的だ。まずは劇場へ。
    (上演時間1時間55分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央に背中合わせの疑似対称ー回転する花のオブジェ(色は 赤と青)。上手/下手に色違いの箱馬がいくつか。シンプルな装置であるが、広い空間を作ることでアクションスペースを確保する。

    借金で絶望的な状況にいる11人(=参加者)が、人生一発逆転を掛けたサバイバルゲームーその名も「童話再現メルヘンゲーム」に挑む。賞金は110万$(約1憶1千万円)を目指して命がけの戦いが始まる。参加者は子供の頃に読んだ または聞いた物語をベースに、その一部をナレーターの指示に基づき再現する。違う解釈や行動、もしくは実行しなかった場合は死というペナルティが。試練を乗り越え、敗者には死といった過酷な戦いを繰り返す。ちなみに メルヘンゲームは「桃太郎」「さるかに合戦」「三匹の子豚」の一部シーンを再現。

    参加者の職業や借金を背負った事情等は、冒頭 KO-SEIファイナンスの案内人が 手短に紹介していく。キャスト紹介のように、1人ひとりが箱馬に上に乗り スポットライトに照らされる。借金の金額はもちろん、ギャンブルや父親の借金を引き継いだりと事情は様々。ゲームの進行とともに明らかになる夫々の事情、個性豊かな参加者たちの連帯や裏切りなどが緊張感をもって描かれる。生き残りが多ければ、それだけ取り分が少なくなる。何としても総取りしたい、そんな人間の欲望ー本性剥き出しが痛々しい。

    先に記した メルヘンゲームで違う行動をした場合は 警報音が鳴り響き、朱色の照明が点滅する。その緊張感を煽るような音響/照明といった演出がすごい。場面転換では目潰し照明(効果)などで観客の視野を遮り、瞬時に情景を変える。単なる「カイジ」「ライアーゲーム」「イカゲーム」などと違って、パラレルワールドとして 別の世界線も描いている。参加者は、別の世界で 同じように借金まみれの者もいれば 真っ当な人生を歩んでいる者もいる。この並行する世界線を交錯することで 物語は立体的になり、ゲームで早くに死んだ者も舞台上に登場出来る。実に工夫された脚本であり、観(魅)せる演出になっている。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/08/01 11:19

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