廃グランド・ホテル別館 公演情報 システム個人「廃グランド・ホテル別館」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    チラシ、タイトル、そしてキャストを見た時から絶対観ようと思っていたシステム個人『廃グランド・ホテル別館』。こういう直感がバチーンっとハマる喜びもまた観劇の醍醐味。大好きな世界観でした。
    怪異たちの暮らすホテルが舞台のコメディだけど全然それだけじゃなかった。自分とは何もかもが異なる他者、そんな誰かのことを好きになったり、恋しく思うこと。会いたいと思うことや、会えなくなりたくないと思うこと。この演劇はその瞬間を掬い上げ続けていたように私には見えた。だって今の私がもうそうなっている。あのホテルに暮らしていたみんなのこと好きになって、会いたくなって、恋しくなってる。そういう気持ちって、記憶ってなかなか消えない。25年くらい平気で消えないのかも。なんてことを思った。

    私がもし幽霊になったら、なかなか成仏できない気がする。
    好きな人に会いたいって気持ちがそうさせてしまう気がする。
    そんなことも思った。友愛とか恋愛とか家族愛とかどれも違う気がするしでも全部当てはまる気もする。そんな名前のつけられない愛着や関係をそのまま抱きしめてくれるような作品でした。

    可笑しく愛らしいキャラクターが出てくるコメディが観たい人はもちろん、お話としてうねりのあるドラマが観たい人も楽しめるのでは?と思いました。
    以下ネタバレBOXヘ

    ネタバレBOX

    アルバムを眺める八重子さんの慈悲深い眼差しと声色が忘れられないし、吸血鬼と狸のやりとりに泣いちゃったのはさすがに想定外!やられた!いずれも哀切の滲む美しいシーンだった。あと、ヒデキはあのビジュとパフォーマンスできっと平成令和の歌謡界でもバズれるし、豆腐小僧と凸凹デュオという道もあるのでは!とにもかくにも俳優がひとり残らず魅力的(だし技術もすごい)で、配役もぴったり、というか、ぴったりに魅せていることが本当に素晴らしくて、素敵なことなのだと思った。

    あと、実はめっちゃ伏線ある。
    観終わった時にもう一回最初から確かめたいと思うようなドラマ構成&展開...!
    音楽がまためちゃくちゃいいなあと思ったら、やみ・あがりシアター『あるアルル』と同じく小山優梨さんだった。
    小山さんの作る楽曲は劇中の風景が走馬灯のごとく駆け巡る音楽で、演劇の中にただ音楽があるのではなく、音楽の中でも演劇が上演されているのだ、としみじみ感じるのです。

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    2025/07/31 14:45

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