犬の刺客 2025 公演情報 友池創作プロジェクト「犬の刺客 2025」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    #犬の刺客25
    面白い、お薦め。
    何度か再演している公演だが、今回初めて主人公の年齢設定をアラフォー世代にしたと。作/演出の友池一彦さんと同年代ということもあり、より思い入れが強くなったという。芸人として売れるまでの努力や苦労、一方 人間の性格や気質のような違いが歪みを生む。漫才コンビというだけではなく、人間関係の複雑さ難しさが浮き彫りになる。不惑の年代という設定が妙(芸能界に留まるか否かの見極め)。

    何のために芸人になるのか、もちろん売れて有名になり といった夢があるだろう。華やかな世界の裏にある現実を面白可笑しく紡ぐ。人を笑わせ楽しませる、そんな気持がしっかり描かれている。本公演 たった二日間4公演、期間限定の掘り出し物市のような希少なもの。激情と性情のような感情をキャスト5人の熱演で観(魅)せてくれる。
    (上演時間1時間40分 休憩なし)㊟ネタバレ

    ネタバレBOX

    舞台美術は、楽屋ということで 剥き出しのコンクリート ほぼ素舞台。上手に衣装掛け、中央に折り畳み式の長テーブルと丸椅子、下手は忘れ物が入ったダンボール箱等。

    「笑いの神様」というイベントで漫才をしている場面から始まる。1人は犬の被り物をして吠え、もう1人は犬が吠えた理由について補足する。お笑いブームに乗ろうとするが、一発屋にもなりきれず解散した2人、実はライブハウスの楽屋にいる他の人たちの人間模様も重ね合わせ 滋味溢れる物語になっている。劇中 漫才シーンがあるが、そこには笑いではなく 漫才ネタを考え稽古してきた苦労が浮かび上がる。一方、マニア(ファン)にとって(漫才の)笑いは癒され勇気づけらる、という相乗効果に繋がっている。その双方を巧みに結び紡いだ好作品。

    漫才師2人…小山亮介(原口誠サン)は漫才ネタを書いていたが、周りからは面白くないと酷評。相方である植田稔(後藤真一サン)はスタッフや先輩・同輩等と親しくし、情報を駆使し業界内で上手く立ち回ろうとする。養成所時代はそれほど親しくもなく、稔はピン芸人として活動しようとしていた。ひょんなことからコンビを組んで少し売れるようになってきたが、壁にぶつかった。稔はネタを作家に依頼することも視野に入れたが、亮介はあくまで自分が書くと主張。亮介の理屈というプライドと融通の利かなさ、稔の気配という拘りのなさ 流される性格、その相容れない気質と激論。コメディとシリアス場面を交錯するように描き、メリハリを付け 飽きさせない。

    2人の考え方や生き様といった違いを際立たせ、それぞれのリアルな人物像を立ち上げる。なぜ漫才コンビを組み そして解散に至ったかを激白していく、その過程が肝。漫才コンビ「犬の刺客」を解散して8年。今ではYouTuberとして細々と活動している。久し振りに雑誌の取材ということで、亮介が懐かしい楽屋にやってくる。実は取材する記者は来れず、政治部から転属してきた垣田朝子(児玉アメリア彩サン)が興味本位から色々詮索し始める(政治記者を干された足掻き)。同じ時に楽屋にやってきた女 宇田川陽子(香苗サン)、何者で何のために来たのか謎めいている。当初来る予定だった記者とはメールでの遣り取りのため誰も顔を知らない。誤解、勘違い、人違い、成りすまし等 楽屋は混乱。

    「犬の刺客」の笑いによって救われたのが陽子。上司からパワハラまがいの行為を受け、精神的に参っていた時に聞いた漫才が忘れられない。今では稔のマネージャー的なことをしている。何とか「犬の刺客」を復活させたいと…。漫才で人の役に立つ、そんな熱い気持を2人にぶつける。楽屋には、後輩芸人 南由良(茉月りりこサン)もおり 2人の動向を気にしている。芸人の不安と希望といった 複雑でリアルな気持が犇々と伝わる。そして朝子・陽子・由良の喜劇的な役回りが、漫才師2人の衝劇というか突劇を引き立てており実に巧み。ラスト 薄暗がりにピンスポットと優しいピアノの音色が印象的だ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/07/30 16:11

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