公演情報
燐光群「KYOTO」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
いつも自然破壊となると話題になるCOP3(気候変動枠組み条約第三回締結国会議)、俗に言う京都会議、日本が、世界的なようやく締結の会議場になった珍しいケースを舞台に、記録劇というか、コメディというか、国際劇というか、とにかく現実を素材にして、国際関係これでいいのかと問題にしているところは相変わらず燐光群・坂手洋二だが、今回は、原作があって・それがイギリスの台本である。今年のオリビエ賞候補だという。イギリスの戯曲・演劇賞は、種類も部門も、候補も沢山あるから、今後このネタが国際的な場でどのようなことになるか、よくフォローしておくのも、これからは何かとこういう場に素材も作る方も俎上に上がるだろうから、勉強するにはいい機会だ。
おおむね、こういう形の問題劇に日本が登場することはめずらしい。この戯曲でも日本が舞台なのに、日本の登場人物は主要な役どことではなくて、自然保護をネタに商売にしてきたアメリカの弁護士が主人公で、お題目がいいので各国の政治家が、適当に乗ったのがこの排出ガス規制法で、現状ではほぼ、空文化している。しかし、そこを武器に国際間駆け引きは出来るわけで、そこは各国ともになければ取引が進まない関税と同じで、今のトランプの横暴がまかり通らざるを得ない現状では時宜にあったいい企画と言うことになるのだろう。本来はドラマ素材ではないんだが、この経緯をネタに喜劇を作ろうと思えば、ネタに困らない。
戯曲はおおむねそのレベルで、日本人は特殊な専門家(国際的な場が主戦場)以外はこういう場所の処理の仕方は知らないから、これで笑うだろうが、これを実際に食い扶持としてやっている人たちはいるし、本格的に劇化するならそこを踏まえなければ面白くならない。ところが、軸になっているCO2ガスの存在が空を掴むような話になっているところが難しい。また登場人物も人種間、地域間というような今は差別として取り上げにくい差別を基に作っているので専門家しか面白くない。だから中国的エゴ、インド的エゴ、あるいはソ連的強情、ヨーロッパ的、あるいはアメリカ的権威主義というのもこなれていない。今までは、主人公がおおやけの幸せのため、あるいは、真実のため、あるいは出身母国のために涙ぐましい孤軍奮闘するドラマで、できあがってきた世界が民が理想を希求するのそれでは上手くなくなった現状報告の最新作である。
燐光群もやりにくくなった。面白そうなのに、六分といった感じに入りだが、公演期間が長いので、関心を持っている人はあるのだろう。だが問題解決となると、芝居がどれほどの力になるか、これは各国の文化のレベルも関わってくるからますます難しい。俳優陣も各国代表を各国人でやりきるには、藝が足りない。タモリの四カ国麻雀のような芸が要る。それは燐光群の狙いとは違うのだから見る方は、うまく出来れば面白いだろうな、ト見るしかない。