星の王子さま 公演情報 Project Nyx「星の王子さま」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    楽しめた“寺山祭り”
    出演者のブログにこの芝居を指して“寺山祭り”と評した一文があったがそのとおり。
    所縁の人たちをゲストに迎え、寺山を偲ぶ公演という色彩が強い。
    千秋楽所見。大好きな『星の王子さま』の世界がそこにはあったし、人気イラストレーターだった宇野亜喜良の絵に憧れた世代、あの時代のことも思い出し、じゅうぶん満喫した。うーん、しかし、やはり上演時間が休憩込みで2時間50分はいかにも長すぎる。構成の問題でもあったと思うのだが。

    ネタバレBOX

    小劇場公演には珍しく、少しも遅れず定刻どおりの開演。第1幕のあと、幕間ライヴが終わる1時間50分まで休憩がないせいか、休憩表示が出たとたん、女性客たちが凄い勢いでお手洗いにダッシュ!(笑)
    何人かの客がライヴの途中で席を立っていった。日ごろ休憩なし2時間の芝居だってあるのだが、それほど長く感じた人が多かったのだろうか(笑)。
    すっかり太めになった「黒い天使」カルメン・マキの歌を聴きながら、日本でのベトナム反戦運動の熱気を思い出し、筑紫哲也の顔が浮かんできた。
    「時には母のない子のように」。やはり、あのころの歌詞には心の奥深くしみるものがあったと思う。
    手拍子のテンポが若い世代とリアルタイムで聴いていたオジサン世代でははっきり違っていて、まったく揃わずに平行線のまま続いていくのにはふき出してしまったが。
    立派なライヴになっていて、ぜいたくな企画なのだが、カルメンや中山ラビの歌が素晴しいのは否定しないとしても、1人何曲も歌うので長くなる。前夜祭にありそうな企画で、芝居とは直接関係なく遊離しているのが気になった。
    芝居は芝居として完結させたほうがよかったかも。歌のコーナーを入れるにしても、作品と絡めたかたちならよかったかもしれない。
    サン・テグジュペリ(倉田知美)が王子さまと語る夜間飛行の場面が美しい。倉田が先日のPP1のキュートなブリっ子とは別人の凛々しい飛行士姿。星の王子さまとバラの人形も幻想的で美しかった。
    キツネ役は石井くに子。これがあの映画「初恋地獄篇」の鮮烈ヌードの少女かと思うと、歳月を実感した。
    ヒロインの少女、今村美乃が好演。お人形のように可愛らしくて魅力的だ。今村とともに青果鹿公演に出演していた村田弘美(演劇実験室万有引力)も活躍。
    野口和美のデッカイ「アリス」やお洒落な「ゾウ」も面白かった。
    吉祥寺シアターにふさわしく、全編“お洒落で美しいアングラ”だが、点灯士(川上史津子)とパパに化けた殺人者の女(遠藤好)の場面はレズビアン・ショーを思わせる淫靡さで、60年代の寺山ワールドを垣間見せた。
    モヒカン刈りと肉襦袢ですぐには川上だとは気づかなかったほど。力演である。遠藤も身のこなしが宝塚の男役のようにきれいでダンスのような動きも流麗でよかった。
    有料パンフレットがあの内容で1部800円は高いと感じた。配役表だけでも無料で添えてほしかった。

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    2010/10/21 16:08

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