8:2(ハチニー)の男 公演情報 東京パチプロデュース「8:2(ハチニー)の男」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    題材は興味深かったが
    「自己イメージは、内面からではなく、他人によって外側から形成されていく」という心理学における「自己知覚理論」を題材にしたようなコメディー。ただのドタバタ・ストーリーではない点が評価できる。上演時間も1時間20分で、いたずらに長い昨今の小劇場芝居の悪弊がないのも好感がもてる。ただ、体感時間はもっと長く感じられた。

    ネタバレBOX

    紙芝居屋(高橋ゆうこ)が狂言回し役となって、1人の内科医の日常を見せていく。
    人には誰でも二面性があり、簡単に善人と悪人の区別はできないという前提を踏まえ、善人と悪人の割合が8:2のときと、2:8のとき、ジキルとハイドのような2つの人格をそれぞれ小林大輔、竹内健史の2人の俳優が演じるという趣向。
    他人から「善人」と決め付けられている「ハチニー」が鬱屈して爆発し、遊離して生まれたもうひとつの悪人的人格「ニハチ」が大暴れ。2人は外見がまったく違うため、誰も同一人物と気づかない。ニハチのおかげで益々ハチニーの株が上がったのもつかのま、今度はニハチのほうの評価が高まり、ハチニーの分が悪くなる。元カノまでニハチに惹かれていって・・・というストーリー。
    3つのドアを使ったシンプルな舞台装置。登場人物の出入りするドアが最初のうちは一定しているが、途中から不定になってくる。こういう場合、やはりドアは決まっていたほうがよいと思う。特に、元カノ(東さや香)の部屋のドアに見立てたドアに他人が入っていくのは気になった。
    前半は、劇というよりコントのような印象。2人の俳優が大汗かいて熱演するので、一層コントめいて見えた。
    また、同じような場面が繰り返されるため単調に感じ、「これからどうなっていくのだろう」という興をそがれ、終盤には飽きてきて眠気に襲われた。
    「ウケ」を狙うコントのテンポと喜劇のテンポはやはり微妙に違うと思うのだ。
    いまからおよそ半世紀前、往年の喜劇俳優、益田喜頓が主役で、このような二重人格の男が騒動を巻き起こす秀逸なコメディーを観たことがあるのだが、1人2役の熱演なので、別人格でも演技に一貫性があり、大笑いした記憶がいまでも鮮明に残っている。どうしてもそれと比較してしまい、あまり面白く感じなかった。違う俳優が演じているから違いが歴然としすぎて、二重人格の真実味が迫ってこないのだ。
    関西弁のホステス役の岡田さやかは商業演劇の舞台経験も豊富なだけに、演技にも一日の長があり、とにかく巧い。演技の「間」が抜群に良く、上沼恵美子のような面白さだ。彼女のような実力派を客演させたことが最大の収穫といえよう。
    紙芝居屋の高橋も表情が豊かで語り口も良く、物語の中の人になりきっていて観客を引きこむ力があった。
    美人の元カノ、東はとにかく美しいがそのまんまで表情が乏しい。ノーブルでも自然な喜劇味がほしいところ。
    老女の患者と外科医の2役を演じた山田宗和は外科医の演技がとても良く、老女は作りすぎで不自然さを感じた。
    友人の水島義人は、芝居の運びが巧く、台詞のないところでも芝居の緊張感がとぎれないのがよい。
    昭和の話ではないので「看護婦」より「看護士」の呼称がふさわしい。また、ホステスが「ご入場」と言っていたが、「ご入店」か「ご来店」のほうがふさわしい。言葉にも気を遣って欲しい。

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    2010/10/21 14:49

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