六道追分(ろくどうおいわけ)~第七期~ 公演情報 片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」「六道追分(ろくどうおいわけ)~第七期~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    第三期に続いて2回目観劇。やはり楽しんで観てもらう、そんなサービス精神に溢れたエンターテインメント作品。そして改めて、人と人の繋がりの大切さ、思いやりといった心情、それを優しく見つめるような劇作。法は 体を縛るが心は縛れない、そこに庶民の気骨をみる。

    物語は 悲恋であるが、笑いも交え小気味よく展開していく。少しネタバレするが、旅は江戸(吉原)から大井川までの東海道、その僅かな旅路が2人にとっての幸せな時間。華やかな雰囲気と非情な成り行きの中で、情感豊かに描き 観客の心を揺さぶる。また場面転換や心情表現にダンスを挿入するなど、観(魅)せる工夫も好かった。
    (上演時間1時間40分 休憩なし) 【第七期 龍】

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央に格子状の衝立2つ。それを可動させ 遊郭の格子戸(籬節か?)を表す。上手は 場景に応じて遊郭の半円障子や道中の石垣など、柱状の装置を半回転させる。下手は 丘のような階段状、その奥に朽ちた平板を組み合わせ、ラストは磔 処刑場。吉原へ通じる場所は、観てのお楽しみ。小さい劇場(空間)を巧く使った演出が妙。


    梗概…清吉(通称・鬼アザミ)は子分の粂次郎、伊助、三吉(妻が病弱でいつか医者になりたい)と共に世を騒がせる”義賊”。いつしか守銭奴達を懲らしめる清吉一味は、江戸庶民の憂さを晴らす存在になっていた。しかし奉行所の取り締まりは厳しくなり、これを潮時と 最後に選んだ場所が不夜城「吉原」である。特に悪どいやり方で暴利を貪る大店ばかりに忍び込む。
    一方、呼出し花魁 お菊は 刃傷沙汰を起こし、足抜けを余儀なくされていた。そんな時、忍び込んだ鬼アザミ一家と出会い...。六道を彷徨う人達の、馬鹿馬鹿しくも切ない道中が始まる。吉原と東海道(大井川)を舞台に、人情味溢れる逃亡劇が始まる。清吉とお菊は旅を通じて お互いが孤独を癒し心を通わせていく。その過程を面白可笑しく描く。ラスト お互いを思いやる気持が 切なく そして痛々しい。

    人別改帳にも記載されない、無宿として生まれた男と吉原という苦界に生まれ育った女の逃避行を描いた悲恋物語。どちらも不幸・不遇な身の上、その2人がひょんなことから一緒に旅をすることになる。旅の途中で出会った僧から「六道」の話を聞き、人の世の儚さと尊さを知る といった人情味ある内容。タイトルにある「六道」を物語に巧みに織り込んで、人の心の在り様 を考えさせる。人間道で生きているが、その現世は因果の道理に…。ラストは、六道の輪廻転生ー色々な世界を死んだり生きたりしながら、グルグル回るーといった内容を2人の覚悟・心情に重ねるようだ。

    華やかな雰囲気、それは出演者(特に女性)が吉原という場所柄、花魁姿の艶やかさを出し、旅に出てからは町娘に扮しての可憐さなど、いずれにしてもその”艶技”であろう。そして下っ端役人(岡っ引き等)の庶民感覚と、与力などの武士とでは考え方が違う。
    第三期と比べ、少し気になったのは、遊郭内での刃傷沙汰や大井川の氾濫時の緊迫感がないこと、(旅途中の)茶屋でのゆったりとした様子(清吉とお菊の至福のひと時)がないこと。物語(内容)としては同じだが、メリハリが弱いように感じた。キャストによって雰囲気が違う、まさに「舞台は生もの」を再認識した。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/07/10 05:20

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