煙が目にしみる【Mura.画】 公演情報 Mura.画「煙が目にしみる【Mura.画】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    千穐楽観劇、面白い。
    物語は 説明にあるように、地方都市にある斎場の待合室が舞台。白装束の男二人、彼らはこれから火葬されようとしている死体の幽霊。これまでの人生に思いをはせているが、ボケ始めたおばあちゃんが故人の姿が見え、話が出来るという奇跡の騒動が…。

    何回か観たことがある作品。今回のMura.画は、前作「広くてすてきな宇宙じゃないか」(演劇研究会)もそうだったが、丁寧な演出が特徴。場面毎のメリハリを さらに強調することによって印象付けと余韻を残す。おばあちゃん曰く「この世の最期の友達、いや あの世の最初の友達が出来て」、全編ユーモアと情感に満ちた感動作。
    (上演時間1時間30分 休憩なし) 【ウミネコチーム】 

    ネタバレBOX

    舞台美術は暗幕で囲い、中央奥に雲か煙のような形をした白布。それが たなびいているようで、あの世を連想させる。中央の空中に白枠(ガラス窓イメージ)。上手/下手にそれぞれソファとテーブル。シンプルなセットだが、全体が鯨幕イメージ。

    葬儀という悲しい現実、にも関わらず 随所に散りばめられたユーモア、溢れ出る家族愛が観て取れる。白装束の男二人(野々村浩介と北見栄治)の火葬が始まってから骨上げまでの1時間半をリアルタイムで描く。二人はこの世とあの世の間を さまよっているが、そんな二人の姿が見える浩介の母 桂の奇跡が…。

    二人は窓から桜を眺めている。自分たちは あの世に旅立ち、家族などはこの世で見送る。その間には忘れたくない美しい光景が見えている。Mura.画の「これを描きたい」が伝わってくる印象深い公演。美術も演出も控え目。しかし観客の想像力を十分に膨らませ、贅沢な時間が流れる。

    音楽と照明を効果的に使ったシーンは2か所、あとは普通の人工光。まず中盤、妻の野々村礼子が背中を向けて ソファに うずくまって夫 浩介を偲ぶ場面、もう1つは、最後 桂が参列者に浩介と栄治の思いを伝える場面である。このメリハリの利いた演出が描きたいことを鮮明にしている。生と死、過去と現在の境界を巡りながら、家族の温かさといった滋味を味わわせてくれる。これが実に巧い。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/06/30 00:24

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