公演情報
劇団青年座「コラボレーターズ」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/06/19 (木) 14:00
座席1階
権力がメディアや文化活動を飲み込んでしまうという物語。今後、日本でも強い者への礼賛の空気が今よりも蔓延していけば起こりえるだろうという恐ろしさを感じる。この戯曲を今取り上げた青年座の視点は鋭いと思う。
旧ソ連の反体制の小説家、ミハイル・ブルガーコフは、作家としての実力や気骨から尊敬を集め、人気の戯曲も世に出している。ところが、当局から最新作の上演を禁止される。ある時、突然自宅に二人の秘密警察が現れた。彼らの要求は、最新作の上演許可と引き換えにした独裁者スターリンの半生の戯曲化。ブルガーコフは断ったものの、スターリン本人からの電話が入って局面は大きく動く。
戦前の日本でも、演劇人は国策演劇の上演を強いられた。反抗すれば作品を世に出せず、解散命令だ。今作では、まるでアリジゴクのように権力者が作家を取り込んでいく様子が克明に描かれ、この作家も権力と一体化して死屍累々の結果を招く状況に背筋が寒くなる。よその国の出来事ではない、こういうことが自国でも起きるんだと肝に銘じなければならない。
休憩をはさんで3時間。なかなかの迫力だ。立体的に舞台を使って恐怖が表現され、客席は息をのんで見守るという感じだった。