料理昇降機 公演情報 劇団夢現舎「料理昇降機」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ミステリー風な描き方で、これから物語がどのように展開していくのか 興味を惹く巧さ。薄暗く 陰湿な雰囲気が漂っている地下室に、男が2人。

    会話は、間のとり方が絶妙なのか分からないが、長い沈黙と訥々としたテンポに妙な苛立ちを感じる。それも 冒頭だけ。お互いを意識し、内心を探り合うような素振りが肝。タイトル「料理昇降機」は料理(情報)を提供するのではなく…。
    (上演時間1時間30分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、地下室にベットとハンガーラックが各2つ。壁の中央には「料理昇降機」、天井には傘電気。全体的に薄汚れ、当然 窓もなく閉塞感がある。音響は、料理昇降機の大きな音、水が滴り落ちる音が不気味に響く。

    登場人物は、黒ずくめの衣裳の男2人ーガス(山田哲朗サン)とベン(益田喜晴サン)。2人は殺し屋で、或る指令を待っている。性格や背景の詳細は描かず、分かっているのはベンが先輩だということ。それは 今の状況を重視した物語であることを表している。この場所での待機を含め、姿なき指令者との繋ぎはベンが行っている。肝心なことは分からず、苛立ちと焦燥に似た感情、それが だんだんと不安になってくる。

    設定からして変、殺し屋が2人? 料理昇降機で運ばれるのは メニュー表であり、実際の料理は運ばれてこない。逆にガスが持参した品々を上階へ運ぶ不自然さ。が、後々解るが理に適っている。殺し屋という何も生み出さない業い、それを実行するために ただ待つだけという時間の浪費。無駄と言えば、火を付けようにもマッチがない。その虚無に対して 何らかの価値を見出そうとする姿が滑稽だ。全てが不用に思えた時、本当に不要なモノが現れて…。
    2人は、一見 信頼関係にありそうだが、所詮 他人、その信頼を食い 心を傷つけることによって今日も生きる。

    捉えどころのない内容だが、それを捉えようと試みる、その観て 感じることが大切なのかもしれない。感想が少し外れるが、本作は「貴方に不条理劇と云う条理を突き付ける」とある。それは見方等ではなかろうか。戦後80年、戦前と戦後で価値観は大きく変わった。条理・不条理も時代や状況によって変わるもの、変わらないものがある、そんなことを考えさせる。それこそ、二度観 またはそれ以上観ることで、違った見方が出来るかも。

    卑小だが、劇中(それも早い段階)でスモークが出たが、何の意味か最後まで気になった。終演後、スタッフに聞いたら物理的なことで、回避できないとか。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/06/23 15:30

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