複数の話が並行するような形で進むが、
どの話も今まで何度かどこかで見聞きしたようなストーリーだ。この歳になると(なにぶん中高年なモノで……)仕方がないのだが。上演時間が1時間半くらいで、いくつかの物語となれば、各話はより短くエッセンスになるので、なおのことその印象が強くなってしまう。しかし、そこに「性的敗北」というくくりを与えられただけで、いつものサラダに新しいドレッシングをかけたように少し新鮮だった。どうも、その“正面からグサリ“みたいな荒業がが気に入ってしまったらしい。それはともかく、対面式の客席の設定というのはどうだろう。役者の後ろに観客が見えていると、それが舞台装置のようになって、どうしても舞台上の出来事と「社会」の関係のようなものに思いが至ってしまう(時には、あっ、あの人水飲んでるなんて、それはそれで楽しいのだが)。この内容なら、私は、舞台上の人物の中に心を沈めて観ていたかった。セリフのアンサンブルみたいな難しさもあったけど、役者がどこかギクシャクしていたり、ラブシーンに熱がない感じがしたのも、その影響があるかも?(この辺は上演重ねるごとに良くなるだろうけど)