公演情報
SPIRAL MOON「徒然なるままに… NOT TO BE, OR NOT TO BE…」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
今年は戦後80年、戦争を題材にした公演が多く上演されると思うが、本作もその1つ。硬軟ある描き という言い方に語弊があるかも知れないが、戦争ものは硬質で骨太という先入観がある。しかし 本作は、敢えて遊び心を挿入し緩い場面を描く。その隙にこそ、観客が感じ 考える といった幅広さと奥深さを感じさせる。あまり感情移入しないほうだが、久しぶりに泣けた。
戦争(反戦)ものは、直接 戦禍等の悲惨な場面を描く公演が多かった。いわゆる硬質で骨太と呼ばれる描き方、それはそれで観応えがあった。しかし劇団(主催者)の描きたいこと 伝えたいことが全て反映され、その延長線上に自分の感情が乗っかるような感覚だ。そこには、自分で考えるという隙が見いだせない。その意味で、本作は緩いが強かといった印象。さらに演出の妙、特にラストシーンは秀逸だ。
チャップリンに「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」という言葉がある。「つらかったことも、後から思い出してみれば笑い話」といった解釈らしいが、このクローズアップとロングショットを「自分」と「他人」に置き換えたらどうなるか。他人事と思っていたことが、送り屋たちの中から一人だけ、特攻隊員となるよう指令が下る。我が身に降り掛かった災難が滑稽に描かれるのか と思えば、さらに捻りを…。
(上演時間1時間35分 休憩なし)【月組】