公演情報
オフィス3〇〇「少女仮面」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
唐十郎戯曲、殊に「少女仮面」は作り手により大きく変容する作品と再認識。スズナリはつくづく良い劇場だと思う。先日たまたま渡辺女史の出演したラジオ番組を聴いたらワイワイと賑やかしく音だけ聴いても密度が凄い。毎度の台詞「今回ももちろん赤字なんだけど」その最大要因は俳優の出演料だろうと踏んでいた所、今回のスズナリ公演、これでもかと趣向を詰め込んでいる。全部に金が掛かってる(掛けちゃう)んだろうこの人は..。今回も生演奏を入れ、演者と演奏者の区別もほぼ無しの混成(混沌?)舞台で(唯一演奏のみに専念したチェリストの女性も登場から終始歪んだ表情で物語世界にコミットしていた)。
過去観た少女仮面で思い出せるのは梁山泊(最晩年の李麗仙が登場)、人形劇、唐ゼミとそれぞれ優れた舞台化だったものの、今回こんなクライマックスあったか?と訝るやり取りに驚いた。改稿?それとも別バージョンがあったとか?等と。。
宝塚俳優春日野(同戯曲に登場させている実在した2名の人物の一人)は、後半唐作品にしばしば登場する突然詩情に煽られ語り出す人の一人として自分語りを語るのだが、それを聞く少女役が毅然と立ち立場逆転の様相を見せる時、芝居に限らず私たちがある種の義侠心や使命感に駆られてそうするあの透明な精神が、少女の中に立ち上がり、人生の孤独を激白する春日野との絶妙な関係の糸がすうっと浮かび上がって見える。このくだりは見事な普遍性を獲得しており、渡辺えりがこの演目を上演したかった所以であるかな、、判らないが、圧倒され通しの1時間45分であった。老若男女、若干女性多めの観客層であったが、退出渋滞に並ぶ高揚した顔顔の中にとめどなく涙を流す女性の姿が一人ならず。
代わって広報すれば...プレイガイドでは指定席完売だが、仕込み後二十席余裕が出たので今からチケットお求めの向きは劇団に連絡を、との事である。