公演情報
パルコ・プロデュース「昭和島ウォーカー」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
ヨーロッパ企画25周年記念興業で、イノッチがサプライズ登場したことから、本作の存在を知り、気になったためにDVDを購入し、鑑賞。
ロボットが日常生活に溶け込み始めた近未来。
その製造の下請けを担当する田舎の町工場に、亡き工場長の一人息子が帰ってきた。
ある失敗から大きな危機に陥った工場を立て直すため、作業員たちはある作戦を実行する。
全編を通して面白いかというと、まずまずというのが本音だが、クライマックスでそれを上回る感動と興奮があるため、鑑賞後の満足度は高かった。
クライマックスで「実は工場のメンバーにはこんな秘密が……」なサプライズがあったり、ラストに舞台装置が登場したりと、脚本はいかにも「ヨーロッパ企画」の上田誠さんという感じ。
"あるもの"を自立させ、みんなで操縦するラストシーンは素晴らしく、メンバー全員が揺れにあわせて動く"集団行動"は、まさに「見えないものを見せる」演劇の真髄でグッとくるものがあった。
また、この演出や前述のサプライズ展開などは、上田さんの(現時点における)新作『リプリー、あいにくの宇宙へ』にも通ずる要素で、そこにこそ、作家性があるのだなと感じた。
また、DVDでは特典映像の内容が濃かったのも嬉しかった。
舞台裏メイキングでは、ラスク工場を営む上田誠さんの父が楽屋挨拶にやってくる様子が映されているのだが、「工場のことに感心なかった子がなぁ」と泣きながら喜んでいる姿に感動した。
また、公演の様子を見ながら、次回作の構想を練る上田さんに、出演者である京野さんがお姫様役を要望するエピソードも印象的。
「それなら、全く身支度が整わないマリオ(イノッチ)との舞台をやるのはどうか」と上田さんが提案するのだが、のちに彼が映画マリオの吹替監修を務めることを思うと感慨深いものがあった。
また、上田さんと同じくヨーロッパ企画の劇団員である角田貴志さんは『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』を手掛けることになるが、そこはかとなく、設定に近いものを感じた。