フィッシュボウル 公演情報 マチルダアパルトマン「フィッシュボウル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    (笑えた度)1(今感)5(完成度)5

    小さな物語を演劇として立ち上げる意味について。

    なんか、見方が間違っているかもしれないが映画として見ていた。
    ロングショット長回しで1日を描く。その集積で、数日の出来事。
     

    ネタバレBOX

    いつからか羽田着陸の航路が変わっていて、中野上空を飛行機が横切る。その小さくはないジェットの騒音は、画面を上にパンして、空を映しだすような不思議な映像的効果として作用している。

    会場は中野の街と地続きで、弱くはない午後の光が差し込んでいる。ガラス戸越しに外が見えるし、外からも見える。80分の公演で、多くの人が通り過ぎて行くが、近寄って覗きこんでくる人1名、横目で見てくる人十数名。案外少ないものだ。

    そのリアルな光が、映像のように感じる要因かもしれない。ソワレになって自然光がなくなると、また、印象が違うだろう。
     
    ラストシーン。1年が経ち、映画で観ていた世界が現実となる。演劇が現れた瞬間だ。

    小さな物語を演劇として立ち上げて、わずかな人数の観客とリアルに出会う奇跡。多くの人は、ここで演劇の公演が行われていることに気づかない。実際に外の通りを歩いていた人でも、だし、世間の多くの人々も同じだろう。
    誰にも注目されていないように感じる、不毛に思える創作活動も、誰かとリアルに繋がっている実感があれば、きっと続けていける。理解者が、世界でたったひとりであっても。実際には、一人どころではない人々がリアルに舞台に集まり、一本締めを共有する。

    エンドロールと音楽が欲しいと思ったが、せっかく演劇が立ち上がったのだから蛇足だろうと思い直す。作る側が観客に感謝するなら、観る側も大いに感謝している。舞台は生もので一期一会。 
    二度とはない時空間が心に残る。

    自然光は弱まったものの残っていて、暗転も出来ないので、現実とは地続きだ。

    飛行機が羽田へと急ぎ足で降りていく。
    ブロードウェイを通り、中央線に乗って家路を急ぐ。

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    2025/06/06 19:24

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