公演情報
グッドディスタンス「朝、私は寝るよ」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
芝居を観ながら眼前の展開に泡を食っていようと涙腺を弾かれようと頭の片隅で「視ている」のは、その舞台をやる必然性(あるいは止むに止まれなさ)だったりする。
グッドディスタンス主催という事もきっと影響してるが、二人芝居そしてアクティブというより受動的インドアな背徳関係(主人公は女性で舞台も女性の部屋)が、コロナ期の風景として見えて来てしまう。他人を「公然と忌避する」事を許されたあの状況は、罪意識の無い不倫行為とどこか通じていそうである。夕方の陽光がレースのカーテンを染める時刻、ベッドから起き上がった女がカーテンを開けて「夕焼け小焼け」の鳴る外界を見下す後ろ姿から、女の内面の風景を勝手に想像している。
本作、後で調べた所2021年同じ団体主催の「風吹く街の短編集」の三編の一編として上演、その後一昨年ゴツプロ!が舞台化そして今回の再演と、人気の戯曲のようで、観れば納得である。終演時、時計はまだ1時間の手前を指しており、思わず二度見した。緊張感ある二人芝居。コメディ要素は自然流れてはいるが、真実味のある芝居はリアルを探る目で見ようとする。真実に迫った瞬間が笑い処である。実は配役も、初演と同じであった。本戯曲は多様な成立のさせ方がありそうで、作り手の想像の余白が結構ある。手頃な感じで、また観たい戯曲である。