ウラの目と銀杏の村【公演終了・ご来場誠にありがとうございました!】 公演情報 キコ qui-co.「ウラの目と銀杏の村【公演終了・ご来場誠にありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    オニ恐い…
    開演してしばらくは、物語と役者さんについていけず、、、。このまま置いていかれたらどうしようかと思ったけど、物語に入れたら割としっくりきて安心。見たことがないものが見れるし、意図されてること(僕は多分、全然読みきれてないと思いますが)もわかる。食べたことのない異国の料理を思い切って食べてみる感じ?個人的には好きだけど、万人受けする感じじゃない気はする。

    ネタバレBOX

    以下、本当にネタバレです。とても良かったけど解釈しきれないので、自分なりの見解を。パンフに「土着」について書いてあったが、物語の中の「鬼=日本人」だとすると「住民=他国の人」なのかな、と観劇後に思わせる、「平和と愛の話」だと感じました。

    あらすじは劇団の方が公演の説明で書かれているので、重複になってしまいますが。村の小学生の感情が抜けて、誰もしゃべらなくなってしまった事を受けて、体育教師含め四人の大人が、皆ボーイスカウトの格好で、キャンプの下見にやってくる。ここでは決して怒るな、や、オニに目をくりぬかれる、といった台詞が放たれ物語の序盤から、オドロオドロシイ雰囲気が充満する。大人たちは山に迷い込み、そこで鬼達と出会い、会話を重ねる。分かり合えそうでもあり、でも全然違う文化を持っており、理解出来ないような気もする。

    一方で、村の役場で働く女性は25年前に起こった凄惨な鬼と村民が殺し合いをした事件を思い起こしながら、幼馴染の自殺志望のあるサラリーマンを勇気付け、死なないよう促している。そこに山から逃げ下りてきた、同じく幼馴染の体育教師が自分の見てきた鬼について語る。女は、「決して怒らない」よう諭し、まだ山から下りてこない人達に思いを馳せる。

    劇中、鬼も人もお互いを決して分かり合えないと言い合い、25年前の事件で死んだ女教師が物語の要所で、現在の人や鬼を叱咤激励しては去っていく。

    やがて、山に登った大人の一人が鬼を傷つけ、鬼も大人の一人を人形のように感情をなくした状態にしていく。緊張状態が高まる中、25年前の鬼と人の殺し合いの様相と、現在それが再び再現されようとしている現状が交錯していく。殺し合いに突入した戦争状態・民族浄化は本当に救われない殺し合いが描かれます。

    劇中の台詞にも戦争という言葉が出てきましたが『情報が隠蔽』『殺すのは人じゃない』『裏切った者は村八分』みたいな心理は戦争時の心理のポイントをついていたように感じました。だからこそ対策『怒りはワクチンで副作用が憎しみだから、決して怒らない』だったり、『愛と平和を勉強する』ことだったりするんだろう。個々の暴力が戦争に深化してしまう設定は強引に感じましたが。『しゃべりきいてつたえ、愛してる人も死んだ人も数を把握し、物語を語り、歴史を学んで過ちを繰り返さず、新しい人と出会い歴史を作り、言葉にならないものを音楽にし、分かり合いたい人を抱擁する。』『命をかけて友達になる』気持ちには何だか救われた感じがしました。ラストは頭悪くて解釈出来ませんでしたが…相手を理解しようと近づくような意味合いなのでしょうか。

    みんな子供で、みんな躁状態なのかと思う位、人間らしい反応ではないと感じた会話と感情に、最初の20分位は、ついていけず、しんどかったです。途中から物語が一気に加速していって、引き込まれていきました。劇中に挿入されているグロテスクなアニメがきっかけで、物語に引き込まれたように思います。そうか、それならこの躁状態も納得出来…るかという感じです。脚本演出に力強さを感じて、だからこそもっと魅せてくれるんじゃないかと思って、今後も期待です。

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    2010/10/11 15:41

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