僕は肉が食べたくて裸(ラ) 公演情報 南京豆NAMENAME「僕は肉が食べたくて裸(ラ)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    若者の無謀な行動による暴挙、それをシニカルな笑いを交えて描いたパンクなドラマ。自分の中の鬱積した感情、世の中の不平 不満に対する思いが危うい行為へ。過去と現在を行き来し、若者の表し難い内面(心情)を切り取っていく。自分が本当に望むことがわからない、そんな男女を通して リアルな若者像に迫る。

    理屈抜きに、がむしゃらな熱気と演劇への希求、それが物語へ惹き込んでいく。若者の 理性と感情の間で揺れ動く心が荒々しく立ち上がる。その象徴が、冒頭の 男の異様な恰好だと思う。これから どんな物語が始まるのか、一瞬にして興味を惹く巧さ。観せ方としては、若者の憂いをデフォルメしているようだ。その独創的な劇作が魅力。
    (上演時間2時間 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、男女(クラタとツボミ)が同棲しているアパートの室内。正面奥に台所、換気扇や冷蔵庫・電子レンジ、上手は 出入り口のドア、下手は 押し入れ等。服が乱雑に脱ぎ捨てられ、足の踏み場もない。乱れた部屋の様子が2人の心の荒れを表しているよう。

    物語は、部屋の住人が留守の間に 金目の物を盗もうと忍び込んだカップル(パン君とハニ子)だが、運悪く2人が帰ってきて騒動が起きる ところから始まる。クラタはバイト先で銃を手に入れ、それを売って金にしようとしていたが…。
    2人は 中学時代の級友で、あまり空気が読めなかった。それでも 当時 虐められっ子のキズコを庇っていた。キズコは、自立心と親からの過保護の狭間で悩んでいる、といったリアルなシーンも交える。若者の衝動的な行為や時事的な問題を巧みに織り交ぜ、しかもエンタメ風に観せる。

    今のクラタは(闇?)バイト、ツボミは夜の仕事で 大した目的もなく ただ刹那的に時間を費やしている。溢れ出るエネルギーを持て余しているが、それをどう発散したらよいのか悶々としている。そんな典型的な若者像を描いている。2人の間に少しずつ溝が、それでもクラタは ツボミを触るヤツが嫌い、ツボミは 私を一人にするヤツが嫌い と互いを認めている。その付かず離れずといった微妙な気持が巧く描けている。

    公演に熱量が感じられるのは、色々なシーンをテンポよく展開することで、疾走感を出しているところ。そして地響きのような音響効果も相まって勢いを感じる。映画でも観たような感覚だが、演劇はライブであって 映像では味わえない臨場感があった。熱さと同時に、今の世の中、薄情者が生きやすく 人情者が馬鹿を見る、といった冷めた見方をしているような。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/05/30 15:59

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