煙が目にしみる(脚本・演出|堤泰之) 公演情報 ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン「煙が目にしみる(脚本・演出|堤泰之)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    (笑えた度)5(今感)3(完成度)5

    ひょんなことから昔の知人が出演しているのを発見して赤阪見附へ赴く。ミュージカル俳優だったはずだが、さて、こんなに演技の上手い人だっけ?舞台での堂々たる仕事ぶりに感心する。

    堤さんといえば80年代半ばに駒小でサーフボーイを観たのが最初だと思うので、もうかれこれ40年。
    「夕日が沈む十秒前に水平線に花を投げよう。」
    いい歌詞だ。
    当時、キッドもスリムもまだあった。音楽系小劇団も昔は層が厚かった。東さんにはペルーの野球という名作があったが、堤さんのサーフボーイもこの作品も野球モチーフ。青春と野球は永遠と一瞬の対比を表現するのに強力な舞台背景だ。

    当時の駒場は野田さんが大きな小屋に移ってしまったあとで、関中などがいたものの、ネヴァランが一番のスターだった。
    今回の作品はミュージカルでこそないし、テイストも大きく違うが、観劇後の余韻が、あまり変わっていないように思える。音楽の力に違いない。ミュージカルの作り手は皆、基本的にロマンチストなんだと思う。
    静かに胸を打つあの感じが、時を経て、蘇る。

    ネタバレBOX

    笑って泣けるエンターテイメントのお手本。引く手数多の人気脚本で完成度は折り紙付き。演出的にも余計なことを一切していないから、安心して物語に没頭できる。ピアノが奏でるジャズ、散り始めた桜。
    「煙が目にしみる」はもともとラブコメミュージカルのMナンバーで、ジャズスタンダードとしても親しまれた。 

    Now laughing friends deride tears I cannot hide

    So I smile and say when a lovely flame dies

    Smoke gets in your eyes.

    煙が目にしみると言うのは涙の言い訳、パリ一流のエスプリだ。
    芸術は永遠だが、人生は短く儚い。
    タバコの煙と火葬場の煙が重なり、言い訳を言う暇もなく、ただただ涙が流れて止まらない。

    人生の大先輩に、改めて永遠と一瞬について教わる。久しぶりに本物のプロの仕事を堪能させて頂いた。ありがとうございました。敬意と感謝を込めて。

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    2025/05/24 10:42

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