湿ったインテリア 公演情報 ウンゲツィーファ「湿ったインテリア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    劇団名ウンゲツィーファはカフカの『変身』が由来、ドイツ語の“害虫”的な意味らしい。そしてタイトルの『湿ったインテリア』、スカした純文学風。本来なら絶対自分が観ないだろう作品、何故かチケット買ってしまった。多分小難しいハイソな討論とか訳の分からないメタファーとか自意識過剰な自分語りを延々する馬鹿女とか勝手に想像してげんなりしていたが···。

    いや全然面白かった。マチルダアパルトマンをシリアス寄りにした感じ。
    凝りに凝った舞台美術。下手はゴミが散乱、上手はベビー用品が干されている。中央にソファーと貝殻が刺さった灰皿。全く意図が読めない。
    語り口が現代文学っぽいな、と思っていたら松田弘子さんの登場から話がぶっ飛ぶ。全くこの話の全体像を掴ませない。かなり個々の家族観の暗部に入り込む。心の奥深く痛いところに深く深く。照明が凝ってる。
    「母親に愛されていることがずっと重荷だった 。」
    家族から逃げて逃げて逃げて辿り着いた場所にも家族がいる。いや実は自分は逃げているつもりが家族を追っ掛けていたのか?ソラと名付けた赤ん坊がけたたましく泣いている。絶対に幸せにしてやる。そして父親である俺も母親であるお前もとんでもなく幸せにならなくてはならない定めなのだ。俺達が辿ってきた軌跡は間違いなくそれを要求している。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    赤ん坊をBluetoothスピーカーにしたアイディアが効いている。一発ネタかと思いきや、そうでなくてはならない作劇。
    豊島晴香さんはいいね。ぐるぐるぐるぐる歩き回る。藤家矢麻刀氏は知ってる人に似た感じ。皆にそんな感じに思われる存在。黒澤多生氏の分かりにくそうで普遍的な痛み。根本江理さんの生活感。松田弘子さんの「人生をやり直す」感覚が作品の芯となる。子供を育てる行為とは人生を生き直す行為なんだろう。

    2019年5月7日に5ちゃんねるに投稿された『息子(3歳)が前世の話をしてきたんだが』。多分、これは本物だと思う。興味ある方は「不思議.net」を検索して頂きたい。

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    2025/05/20 00:21

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