ヘッダ・ガーブレル 公演情報 新国立劇場「ヘッダ・ガーブレル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    まさに「主演女優」の佇まい
    主演ヘッダ・ガーブレルを演じる大地真央さんがいい。背筋をピンと伸ばして、自らの存在を「主演女優」として、大きく感じさせる。
    それは、まさに気高く美しいヘッダ・ガーブレルの姿にダブるのだ。

    ネタバレBOX

    舞台全体を額縁で囲み、その中で演じられる。ヘッダ・ガーブレルは、その絵画の中での主題であり、他の役者たちは、主題を引き立てるために存在する。

    主題であるヘッダ・ガーブレルを引き立てる脇がいい。
    誰もが自分の頭の上のハエを追っているだけで、精一杯なのだ。ヘッダ・ガーブレルにはそれが我慢できない。なにしろ主人公なのだから。

    父親である将軍の陰(影響)を強くその背後に感じながら(下半身しか見えない将軍の肖像画による「陰」の演出が憎い)、ヘッダ・ガーブレルは自分を生きようとする。

    自由に生きようとしているのだが、自分が何を求めているのかがわからない。たぶんそれは、彼女にとっての「美」なのだろう。

    彼女は、普通に(たぶん)憧れているけど、退屈は大嫌い。自意識をうまくコントロールできない様(つい過剰になってしまう様)は現代にも通じるものがある。
    親や自分にさえ、がんじがらめになっている閉塞感が重い。

    そして、ラストの悲劇は美しくもある。

    イプセンが繰り返し上演されるのは、そういう普遍性を見事にとらえているからなのだろう。

    それにしても、イプセンは面白い。この座組だから面白かったのかもしれないのだが。
    2時間45分はあっという間だった。

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    2010/10/07 07:37

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