『三姉妹の罠』 公演情報 8割世界【19日20日、愛媛公演!!】「『三姉妹の罠』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「力業」で笑わされたぜ!
    うまくまとめ上げたな、というのが一番の感想。
    上演時間1時間50分と聞いたときには、一瞬クラクラしたが(笑)、その時間は無駄ではなかったと思う。
    笑って楽しい時間だった。

    それにつけても、フライヤー(チラシですかね・笑)に「面白いコメディ」と書く勇気!

    ネタバレBOX

    実家の家業を手伝っている長女。漫画家として成功している次女。役者を辞めてお笑いの道に進もうとしている三女の三姉妹の物語。そして、父親は「じ」で入院中。

    三女は、男とコンビを組んでお笑いを目指そうとしているが、長女はそれを諦めさせようとして、策を練っていた。
    三女はそれをすでに感じていて、長女を説得するための策を練っていた。

    そんな中、漫画家の次女が数年ぶりに家に戻ってくる。
    どうやら、結婚して漫画家を辞めるらしい。それを止めるために編集者がひそかにやってきて、家族や叔父たちと策を練るのだった。
    ところが次女もそのことをすでに察知していて、策を練っていた。

    そんな「策」と「策」が思いがけない登場人物の出現や、思い込み、勘違いで滑り出していくというストーリー。

    これが、なかなか面白い。
    濃〜いキャラクターを次々と放り込んできて、話が広がり出す。これをうまい具合にまとめ上げる力業に拍手を送りたい。エピソードの絡まり具合がなかなかいいのだ。観る側をわくわくさせ、物語の先へと強く引っ張っていく。だから、2時間近い上演時間であっても飽きることなんてない。
    脚本を、時間をかけて練ったであろうことが伺える。こういうしっかりと作り込まれた面白さは好きであり、支持したい。
    それは、決してスマートではなく、力業なのだが、面白いのだ。
    力業だけど、細かいところにも気を配っているところが憎い。例えば、机の上の煎餅を、その前に座る人が必ず食べるなんて、どうでもいいような設定も楽しいのだ。

    テンションが高すぎるキャラクターが多すぎるところが、少々辛くはあったが、まあ、そのあたりは、勢いっていうか、そんな感じなんだな。

    初日ということでの固さもあるのだろうが、あまり上手いとは言えない役者も、上手い役者も同等に演出していたのだと思う。しかし、あんまり上手くない人については、それを逆に持ち味にするぐらいの、図太さがほしいと思った。
    また、ちょっとコミカルなシーンに出てくる「ここはコミカルですよ」というようなBGMは、はっきり言ってあまりいい印象はない。そういう音楽の使い方で、面白くなることは、まずないからだ(あえて、それをギャグとして使うのならば別だが)。

    全体のトーンはテンション高めだが、それをクールダウンさせるシーンもあることにはあるのだが、その緩急がうまくリズムに乗っていれば、さらに面白くなったのではないかと思う。

    とは言え、スピードが乗ってきて、笑いが増してくるところは、なかなかの快感だ。そのスピード感というか、ドタバタ感も良い。特に2代目が登場してからの一連の展開は(三女のお笑いの相方役の石丸将吾さんが叫ぶ、2代目の行動の解説なんかがいいアクセントになりつつ)、とてもいい感じで笑った。

    ラストは、想像の範囲内ではあったが、とてもいい雰囲気であった(夕日が唐突すぎるけれど)。
    ただし、「三姉妹」の物語である以上、ラストは三姉妹が揃って話をするシーンのほうが効果的ではなかっただろうか。
    そして、もっと「姉妹」という関係性が熱く語られても(もっとストーリーの端々に感じられても)よかったと思う。

    さらに言うと、妹たちの自由な行動にストッパー的な役割を果たす長女であったが、その長女は、本当は何をしたくて、何を目指しているのかが、少し見えてきたほうがよかったのではないだろうか。彼女が「幸せ」について語るときに、それが見えてこないので、単に寂しくなってしまうのだ。

    三女のお笑いに対する意欲も、もっと見えたほうがよかったと思う。ツッコミとは言え、お笑いに対する(無理にやってる風な)どん欲さで、長女たちにアピールする、みたいな。彼女は、ずっと不機嫌な印象なのだ。

    長女役の嶋木美羽さんの動いて叫んで、その健闘が目立つ。次女役の奥村智恵野さんがなかなかクールでうまい。2代目のプロフェッショナルを演じた高宮尚貴さんの、プロフェッショナルぶりが笑いを誘う。初代の小林守さんの不安げな佇まいもいい。守銭奴な嫁を演じた宮澤ちさ恵さんは、今回もうまく脇を固めていた。

    どうでもいいことだけど、言葉の定義に敏感な編集者の台詞で気になったのが「ストラテジー」。「ストラテジー」は作戦ではなく戦略で、作戦は「オペレーション」なのだ。

    あと細かいことだけど、アンケートを書くともらえる「こぱや紙」は、なんでA3サイズなんだろう。しかも片面しか書いてないし。B5ぐらいにして、裏表にしたほうが経済的なんじゃないかなと、余計なことを思ったり。あのサイズ、帰りの電車の中で広げて読むのはナンですし(笑)。

    …そして、「お尻だけにぃ」を感想のどこかに盛り込もうと思ったが、無理だった(笑)。

    4

    2010/10/07 06:29

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  • 高宮尚貴さん

    コメントありがとうございます。

    2代目の役はとてもよかったです。他の登場人物たちが、策の練り合いで、ざわざわしている中に、プロフェッショナルとして自信満々で現れるあたりは笑いを誘いました。

    楽まで、その雰囲気で観客を楽しませてください。

    2010/10/08 10:41

    鈴木雄太さん

    コメントありがとうございます。

    いやー楽しかったですよ。
    どうなるんだろう、っていうコメディを動かすのに一番大切な、と言っていい駆動力がありましたから。

    「想定外」のハプニング、最初のほうは観客としてもかなりはらはらしました(笑)。
    後のほうは(メガネのほう)、毎回わざと入れてもOKなんでは?

    それと、ストラテジーですが、計画ならば「スキーム(scheme)」という言葉もあります。この数年お役所の報告書(白書など)などでも頻繁に使われている言葉であり、「策略」という意味もありますので、これなんてぴったりでは?

    2010/10/08 10:38

    アキラ様へ

    8割世界、高宮尚貴です!
    昨日は8割世界その13『三姉妹の罠』にご来場頂きまして、本当にありがとうございました!
    コメントも全て読ませていただき、一回のご観覧にも関わらず、作品の細かい所まで観察下さって光栄です。
    これからもお客様に「面白い!」と思って頂ける作品を作り続けるタメ、精一杯願晴ります!!

    2010/10/07 10:50

    アキラ様

    「観てきた!」コメントありがとうございました!8割世界主宰・鈴木雄太でございます。

    あらすじを書いているわけでもないのにネタバレ内の感想の長さ!感動いたしました!素敵なご指摘の数々、まことにありがとうございます…あぁ、感動。

    ストラテジーに関してですが…(笑)
    一発で意味がわからない言葉がいいな~と思いストラテジーを選択いたしました。
    本当は「罠」を意味する英単語でいきたかったのですが、トラップくらいしか良いのがなく…
    と、いうわけで「作戦」に変更。その中でもピンときづらく、耳馴染みゼロではないかなというストラテジーを選択しました。昔、イギリスの馬で「ストラテジックチョイス」という馬がいまして「戦略上の選択」と訳されていた為、純粋に「作戦」ではないなとは一応把握はしておりました。
    …なんて(笑)
    無駄な?釈明文、大変失礼いたしました(笑)

    アキラさんの「ラストの想定」以上に私の「想定外」な初日ハプニングが数々ございましたが(苦笑)、本当に難産の作品だっただけに、楽しんで頂けたというのが何よりです。

    次は☆5つ頂けるよう頑張ります!
    今後とも8割世界をよろしくお願いいたします!

    鈴木雄太

    2010/10/07 09:34

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