いつかの日の 公演情報 こわっぱちゃん家「いつかの日の」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    初観劇続きである。「ちゃん」の付く他の団体とごっちゃであったがこの度明確に識別した。好感度は高い。小劇場(狭い空間)ならではの工夫のある演出と、ビジネスライクな関係での相手を刺す(懐に入る)台詞が何気に巧い。家族や友人と異なる「仕事」上の人間関係はある固有な距離感を持つが、この要素を対立でなく融合のベクトルでドラマに組み込むてえのは、リアリズムにおいては難度が高いと思う所、そこを雄弁に書いている(中津留氏などとも少し違うテイスト)。若い俳優達も良い仕事をしている。

    ネタバレBOX

    本作のテーマは台詞に頻出する言葉を借りれば「いつもの(日々)」。舞台は場面によって交錯するが主に「市役所」の市民課窓口のエリア。現在進行形の日本社会という下敷の上に、成長や競争の局面にも言及しながら形作られる「いつもの日々」が、ささやかに、またそれなりに波乱を帯びて描かれ、一つの極点を示すのだが、これが大転換を経た情勢に置き換えられるとは想像もせず。
    ただし様相を変えて浮き足立つ「いつもの日常」が着地のしどころを求めてドラマが足掻きながら歩を進めた末、前半から貫かれるテーマがやはり浮かび上がる。
    近未来場面では「設定の緻密さ」がハードルとなる所、説明を尽せない部分は残ったとは言え、観客の想像が補うに足るテキストになっていたのではないか。
    人間の志を高く引き揚げ得る人物の描写が、私には素朴に響いて来た。「まあ、あの市長は、何と言うか・・人格者だよね」と雑談交じりに女性職員が会話をする、その当人が登場すれば、饒舌にその所以を示す台詞を吐かせる。

    しかしこの自分の受け止め方は一般的なものだろうか・・とふと思う自分がいる。世の中それなりにちゃんと回ってるんであって、目くじらを立ててる人は「何に文句を言ってるんだろう」(日本の治安は何と言っても諸外国に比べれば格段に高いし、貧困率は高いと言っても皆がスマホを持てる経済状況だったりするわけでしょ)・・そんな風に現状を飲んでいる人がこういうドラマを見たらどう見えるだろう、と。不要な「熱さ」が舞台に横溢していると見えたりするものか・・。
    会場にはやはり若く、かつ素朴な風情を感じさせる人達が多く居て、雰囲気は上々であったが。

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    2025/05/05 00:58

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