千羽鶴 公演情報 演劇ユニットG.com「千羽鶴」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    上質なお芝居でしたが・・・
    初見の劇団。芝居としての質は高く、俳優も好演していた。文芸ものに強い劇団のようなので、今後も観続けたいと思う。
    今回の芝居はギリシャ悲劇や能とも関連させていたようだ。アフタートークでギリシャ悲劇と能の世界が結びつかないようなことを発言していた人がいたが、いまの演劇人は観世寿夫の活動をご存じないのだろうか。早稲田のかたならご存知かと思うが、観世寿夫は早稲田小劇場とも組んで、ギリシャ悲劇と能楽を結びつけた公演を行っていた。
    ただ、今回の公演、観劇環境としてはよくなかったと思う。空調の悪い地下空間で登場人物の少ない緊密な芝居を1時間45分、硬い木の椅子で観るのはきつかった。カフェ公演は1時間半以内に収めたほうがいいと思う(持論なのですが)。

    ネタバレBOX

    この芝居、能でとらえるとわかりやすい。前シテが太田夫人、ツレが文子、ワキが菊治、後ジテがちか子ということになるんでしょうか。舞台に話の芯ともなるゆき子をあえて登場させないのも、能の手法と共通する。
    最初に登場する太田夫人の内海詩野は立ち姿と古風な感じがよかった。女性陣でただ一人洋服姿の文子の高安智実は松下由樹と貫地谷しほりを足して2で割ったような美女で印象に残る。
    ちか子の佐藤晃子は演技に迫力はあるが、和服を着ているのにずいぶんと豪快に唾を飛ばすので観ていて興ざめし、閉口した。
    アフタートークのゲストは「そこがいい」みたいなことを言っていたが、私はそうは思わない。
    花柳章太郎、初代水谷八重子、山田五十鈴、杉村春子、坂東玉三郎、みな名優と言われ、和服の似合う女優や女形だが、いくら熱演しても、傍で観ていて唾なんか飛ばさない。それは女優や女形の最低限の嗜みや心得みたいなもの、しかもここに挙げた人は人一倍衣装を大切にする人です。あんなに大量に唾飛ばしたら、着物にかかって汚れるでしょう。「汚いものも見せるのが小空間のよさ」みたいなことをゲストは述べていたが、そういう問題じゃないんです。和服での演技にはおのずと品や節度が要求されるのです。
    ちか子は「女を捨てている」という解釈だが、ちか子は一番女の嫌な部分を持っている、したがって女を捨ててなどいない。杉村春子が映画でこの役を演じているのでお手本に観ていただきたいものです。怖いけど美しいですよ。
    菊治の山田朋弘は、台詞が少ない難しい役を巧く演じていた。ラストシーンがアングラ風で面白い。
    狭い会場なのに音響が大きすぎて、役者の台詞にかぶせるとまったく聞き取れなかった。
    20分のアフタートークがあったが、ゲストが一人で仕切るにせよ、内5分くらいは質疑応答の時間を設けてもよかったのでは。
    「原作を読んでいる人は?」というから挙手したが、「いるわけないか」と無視された(笑)。
    アフタートークが終わっても、ゲストを囲んで劇団関係者たちだけで引き続き話し込んでいるので、つくづく内輪の公演なのだな、と思った。
    ゲストの言動からして私演会みたいだった。
    観劇料金としては、ワンドリンク込みであの値段が妥当だと思いましたね。

    2

    2010/10/04 03:38

    0

    0

  • 三浦剛さま

    コメントありがとうございます。
    次回の仮チラシの舞台美術の説明図?に興味がわきました。
    今後も注目したい劇団です。

    2010/10/08 20:19

    きゃるさん、ご意見ありがとうございました。
    椅子の件や、トークの件参考になりました。トークに関しては今回初めてで失敗もありましたが、非常に有意義なものだということが分かりました。今後も改善していきたいと思います。またのご来場お待ちしております。
    G.com 主宰 三浦 剛

    2010/10/08 19:44

このページのQRコードです。

拡大