公演情報
劇団印象-indian elephant-「女性映画監督第一号」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
私は最近女性が男性や社会とたたかうべく連帯する、いわゆるシスターフッドの物語を手放しで喜べなくなってしまった。個々で考え方も生き方もまるで違う複雑な私達はその実女同士というだけでは簡単に手を繋ぎあえない。だから時折物語のクライマックスやカタルシスのためにそうさせられてしまうことに違和感やもどかしさを覚えはじめていた。だけど、そこまでをしっかり見つめている作品ももちろんあって、『女性映画監督第一号』はまさにそんな作品だと感じた。戯曲も上演も定点におさまらず本当に素晴らしかった。
表題から抱く物語のイメージを一つも二つも飛び越え、至らぬ自分一人の思考では到底辿り着けない風景をひりひりと見せつけられた。
「芸術や表現の世界で女性の評価が遅れる」という現実やその中で活躍することの難しさを詳らかにしながら、性別問わず芸術や表現を生業とする人間がそのブレイクや成果の為に誰かの存在や人生や歴史を無自覚に搾取/消費してしまう加害も明らかにしていた。本当の連帯はその自覚からだと手に握らされた。
「眼差しの権力」という言葉をじゃりじゃり噛み砕く帰路。
西瓜の種はそれを食す時にはたしかに不用だが種がなければ新たな実は生まれない。私はまだそう信じたい