満足度★★★
コロスが決め手
文学座アトリエ60周年記念公演の第一弾。
終始張りつめた空気の95分間。
それは良いのだが、観ていて疲れるといえば疲れる。
そんな中でベテラン陣の肩の力の抜けようはさすがの一言。
特にタルテュビオス(=坂口芳貞)は、
「ギリシャ悲劇っぽい」台詞回しから解放されて、
舞台にひょうひょうと存在していた。
肩の力を抜くってこういう事なのね、と観ていて納得。
観劇疲れも、タルテュビオスを観ているとふっとんだ。
それとは対照的なのが、
「群集役として開幕から閉幕まで舞台に存在し、物語のすべてを目撃する役割を担う(当日パンフレットより)」コロスだった。
ガチのギリシャ悲劇的演技。
個人的に大きい芝居は好きなんだけど、どうも観ていてすっきりしない。
内面と外面の大きさが食い違っている箇所が目立つように思えた。
「物語の目撃者」には見えなかったな。
このコロスが、ずっと舞台上にいるので、やはり、観てしまう。
そのコロスのエネルギーがこの芝居の空気感を握っているんではないかと思うのだが、
それがどうにも演劇演劇していて馴染めませんでした。
もっとさらりとやるとか、もっと怨念込めて、ってのも観てみたいです。
良い芝居には違いないのですが。