ワイルドターキー 公演情報 ゲキバカ「ワイルドターキー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    宮沢賢治の詩で訴える
    「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」は確か、小学生の頃、教科書に載っていたと思う。カタカナが多いこの詩を何だか堅苦しく重く物騒だと子供心に感じていたが、今日、改めてもう一度舞台でなぞられると、この素朴な泥臭い詩は人間が生きるうえでの基本なのだとつくづく感じる。
    ワイルドターキーは「2丁拳銃の中山」が賢治と同じ故郷から逃れて東京にやってきて死ぬまでを綴った物語だ。
    笑いあり、アドリブありの楽しい舞台だった。終盤ではホロッと泣かせるシーンもあって、その暗転の上手さも見事だった。上演時間がアドリブによって変わる。ちなみに本日は2時間20分。しかし長さを感じない程、楽しい。
    更に今回の芝居には「白と黒の世界からやってきた男が辿り着いたのは灰色の街だった。」とか「白い雪の上に赤い絵の具で描いた絵」などとカラーの描写も斬新で、しっかり、そのカラーが脳裏に焼きついてフルフルと震えた。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    片田舎で育った中山は15で母を亡くし、父親は17で死んだ。後に描かれるが、この父親を殺したのは母の連れ子のちかだった。中山の義理の妹に当たる。この日の父は酒の力を借りていつにも増して荒れ狂っていた。そんな暴力親父をちかは包丁で刺したのだった。ちかを庇って黙秘する中山。やがて中山は生活の為に東京に出て、暴力団員となる。

    しかし、ヤクザ同士の闘争に巻き込まれ刑務所暮らしを余儀なくされた中山の出所時に加藤組の伊藤がお迎えに来る。中山が構成員だった東城組は加藤組とのドンパチの末に吸収されたのだという。

    加藤組の構成員となった中山の周りでは、ヤクザにはお馴染みの金銭トラブルや、刑事の汚職、裏切り、闘争が繰り返され、やがてダニの鈴木(刑事)に言いくるめられた伊藤は組の金を強奪する手助けをしてしまう。怒った加藤組はオトシマエとして伊藤の女でソープ嬢のちか(中山の義妹)を瀕死の状態にさせてしまう。今度は伊藤とばかりに制裁しに来るも、中山は弟分の伊藤を助けるために自ら組長を射殺してしまう。

    やがて刑務所に逆戻りした中山を数年後、再び伊藤が迎えに来る。それは桜の花がはらはらと散る春の穏やかな日だった。ちかに伊藤の子が生まれたとの吉報を聞いた中山は「奥さんにもっと幸せになるように。と伝えてくれ」と残す。そうして国に戻って一からやり直そう・・、と心に誓ったその瞬間に一発の銃声が中山の眉間を突き刺したのだった。

    桜は相変わらずはらはらと音もなく舞い落ちる。まるで中山の人生を祝福するかのように。そうして中山は暗闇の中で「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」を復唱するのだった。

    素晴らしい芝居だった。とにかく中山のキャラクターが役にぴったりで、全身から疼くようなエネルギーを発して孤独と言う荷物を背負った加減が絶妙な演技だった。その動と静の不思議なバランスが中山の真髄なのだとも思う。惜しむらくは2度目の中山の出所シーンで中山を迎える伊藤が図らずも笑ったのだ。シリアスなシーンなのに、何故かクスッと笑った!何故だ?!、ここ大事なとこでしょ。
    伊藤は後でおしおきだなっ。

    更に今回はいつにも増して照明さんががいい仕事してた。序盤の暗闇から浮き出てくる男たちのシーンは記憶に残る名作となるに等しい。とにもかくにも素晴らしく楽しい舞台だった。観客がノリノリで序盤から拍手喝采してました。観客も素晴らしい!!

    追伸:今回はキャスト名と役名が同じだったが分かりやすくてよいと思う。

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    2010/09/25 17:57

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