底抜けカンガルー 公演情報 ぬいぐるみハンター「底抜けカンガルー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ささやかに光る円熟味
    前回公演『お肉体関係』が演劇ぶっくにも取り上げられ、すっかり高いところまで行ってしまったなぁ、と思っていた矢先のぬいぐるみハンター最新公演。

    出演者もぐっと少なく、きらびやかな衣装もなく、BGMも(今までの彼らに比べて)圧倒的に少なくなっていましたが、物語はむしろ前回よりも濃くなっていると感じました。

    以下ネタバレ。

    ネタバレBOX

    湖のほとりで貸しボート屋を営む女性とバイト君、さらにそこで足枷をはめられて飼われている下着姿の少女。そこに、自称保安官のホームレスやボートの整備にやってきた青年、湖に現れたカンガルーを取材しにきたジャーナリストの女性がからみ、なにやら流血事件も起きたりして途中から不穏な展開を見せたりもします。

    前半はひたすら物語にはあまり関係のない「遊び」や「ムダ話」に時間が割かれていて、好みは分かれるかもしれませんがむしろ私はこの部分こそが彼らの真骨頂だと思いました。
    特に何を語るでもない、ダラダラとした会話。でも、耳をそばだてて聞いてみると、なんだか面白くてにやにや笑えてしまう、そんなような。

    シュールな世界観もあいまって、見ていてどこか昔のシティボーイズの舞台を連想しました。
    よく考えたら、劇中で語られる「カンガルーの名前の由来」(ガセらしいけど)は、かつてシティボーイズの舞台『丈夫な足場』の中で出てきたくだりでもあるし。これは偶然なのか意図的なのか。

    途中ミステリーに傾きかけたストーリーは見事なまでにスカされますが、そもそもこの舞台は推理劇ではありませんし。これでよいのだと思います。

    末筆ながら、参宮橋トランスミッションを「縦長に」使ったステージ配置と(これは先週同じ劇場を使ったトカゲノセナカさんも同じでしたが)、ビニールシートに水をはって湖を表現した舞台美術にとてもセンスを感じました。

    そして、本公演終了から約1週間後には彼らは次回公演をうつという。
    生き急いでいるのか死に急いでいるのか、これは是が非でも見届けたいところです。

    0

    2010/09/25 13:07

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大