満足度★★★★★
シャハマーチは現代社会の縮図。
Kヴァージョン観劇。簡単に言ってシャハマーチという名の盤ゲームを『K』『M』2つのチームがゴールを目指し争っている様子を観る、というもの。駒をすすめていくには『課題(ノルマ)』をクリアーしていかなければならず、言わずものがなチームが一丸となりフォローし合えるかどうかが勝敗の鍵を握るといっても過言ではないのですが、物理的なトラップや、チームメイトにおける疑惑&憶測が矢のように飛び交いますので、とても一筋縄ではいかないようです。そうやって盤上で右往左往するひとたちの様相や小さなトラブルやドラマの連なりは、人間が社会の駒(歯車)となって生きることの世知辛さや諦め、さらには哀切すら醸しだし、あらゆる困難を乗り越えて会社がひとつのプロジェクトを達成させる過程に類似しているようにもみえます。
また、劇中繰り出される数々の会話のなかには、あからさまな理不尽さや不当な扱いを受ける場面もあり、共感するとともに、なぜそんな思いをしてまでゲームに参加するのか?という謎がなぜ人は生きるのか?という根源的な命題に直結し、生きるということは人間としての義務『ノルマ』をこなしていくことこそに意味があるのだろうか・・・と考えさせられました。
シャハマーチの存在自体が資本主義社会をメタファーにしていることや、ヒエラルキーの構造をゲーム仕立てにわかりやすく解説しているように思われる点も世界観の奥行きを感じさせますが、堅苦しいことや難しいことは何もなく、時にはコミカルなコントを挟み、ガス抜きをしつつ見せてくれますので気軽に楽しめるのが嬉しいです。作品は、K&Mのどちらかを選択したチームをクローズアップしてゲームの動向を追っていく見せ方なのでやはり、2ヴァージョンみて、あの時敵陣営はどんな作戦を立てていたのか?などの裏を知り、その世界をより一層深めていくのが楽しそうです。私も日を改めてMヴァージョンを観にいきます。皆さまも現代社会の縮図ともいえるシャハマーチに踊らされに行きましょう!笑