自慢の息子 公演情報 サンプル「自慢の息子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    王のいない「王国」
    ストレートに分り易くなったなー、というのが第一印象。

    一癖も二癖もある人物達を今回も配しながら、相変わらず巧みに
    舞台装置を用いながら、台詞もメッセージ性も「ハコブネ」の時以上に
    一直線に観客に伝わってくるのが今作。

    逆に、何が起こるのか分らない、その予測出来無さを楽しみに
    サンプル、松井作品を観に来ている人は、今作は結構想定出来る
    感じなので物足りないかもしれません。

    ただ…ラストシーンのある台詞には背筋が凍った。 
    アレって…暗示してるの一つだけだよね。。。

    ネタバレBOX

    世界を正しく導くために、父親に「正」と名付けられた男。
    彼がアパートの一室を「王国」と名付けることから、この話は始まる。。

    といっても、部屋の一室が便宜的に「王国」となっても何も変わらない。
    通貨も無ければ、言葉もロクに考えられてない、そもそも王しかいない
    王国は果たして王国といえるのか?? 

    亡命者の兄弟は所謂「危険な関係」にあり、それを隠すために
    この新国家に亡命してきている。 

    しかも、兄の方はいつも懐にナイフを忍ばせているような
    強迫観念に駆られている男で、物語では明示はされないが
    本当に二、三人は思わず殺ってしまっちゃってるんじゃないだろうか? 

    隣室に住んでいる女は、いもしない「陽」という自分の息子の幻影を見、
    必要のない洗濯を日がな何度も繰り返す。。

    そしてこの国の王たる正は…部屋に引きこもってはぬいぐるみのミニ
    人形と専ら戯れているだけの、女性経験全く無し、職歴も全く無しの
    もう絵にかいたような典型的な生活不能者…ですな。

    そのような現実から「亡命」してきた人間達が便宜的につつけばすぐに
    破れるようなベッドやらカーテンやらのシーツの塊でこねくりだしたのが
    この王国の正体。 つまり、すぐにでも破綻することは必定。

    「国民」や「王」も必要があるから共犯よろしく、この抜け殻の王国を
    持ち上げているだけで、意味がなくなればすぐにベッドからシーツが
    はぎとられるように消えてなくしてしまおうと、新しく創っちゃえばいいじゃん?
    位に考えている。

    この作品,観ていてNODA MAP「ザ・キャラクター」を思い出しました。
    現実の中に架空の、偽りのコミュニティを造り出して、そこで醒めない
    夢を見続けるんだろうな、という点で…。

    最後、二代目「陽」になった兄が妹に向かって放った言葉、

    「陽は土の中で眠っているーーー!!!!」
    「やがて脱皮して新しく生まれ変わるまでーーーー!!!!」
    「土の下でお前を支える支えになるからなーーー!!!!」

    に、心底背筋が凍った。 コレ、陽って子は既に母親に虐待を受けて…
    で、土の下で「眠っている」ってことでしょ? 瞬時に想像してすんごく怖かった。

    最後、みんなしてシーツを掲げたあの光景、アフタートークで松井さんは
    ドームって表現していたけど、私には今まで、そして未来永劫漂流し続ける
    ヨットの帆にしか見えなかった。 そして、ナイフを自動人形よろしく
    掲げ続ける妹の姿に本気でびびった。

    変態度も、意味わからなさも若干後退気味で、その分上記に書いたような
    テーマ的な部分は大きくクローズアップされているので、この劇団に
    興味がある人にはリトマス試験紙的な意味で良いかも。

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    2010/09/16 23:55

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