『にしむくさむらい』『場所と思い出』 公演情報 Pカンパニー「『にしむくさむらい』『場所と思い出』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/12/06 (金) 15:00

    座席1階

    「場所と思い出」を拝見。非常に分かりやすい、しかもよく笑える不条理劇だった。これはおもしろい。

    開幕前、舞台は幕が引いてあって見えない。幕が開くと古びたバス停に木のベンチ、そして裸電球付きの電柱。いかにも別役劇という感じがして、シンプルな舞台装置に気持ちが高まる(笑)
    ここに、スーツ姿の男が大きな旅行かばんとコウモリ傘を手に登場する。続いて、近所の主婦という感じの女性が買い物カートを引いて登場する。「バスを待っているのですか」という普通の会話から、「ここで何をしていると聞かれたら、バスを待っていると答えるのですよ」といつもの別役劇の始まりだ。
    面白くなるのは、2人目の主婦という感じの女性が登場してからだ。最初の女性の身の上話(なぜか)が、いつの間にか2人目の女性の話にすり替わってしまう。既にこのあたりから、男性は完全にペースを奪われる。さらに、2人(男女)が登場するが、男性がせっかく自分のいうことを聞いてくれるかと思ったその絶妙のタイミングで、新たな男女が突っ込みを入れて常識をかき乱していく。話はあちこちに飛ぶのだが、男性にとっていかにも情けない、どうしようもないと泣くしかないというラストシーンに向かって盛り上がっていく。

    分かりやすいのは、不条理の被害者がこの正直者のセールスマン男性一人であり、残りは掻き乱し役という設定だ。ただバスに乗りたいだけなのに、男性には次々に悲劇が襲いかかる。正直者がばかを見る? 適当に相づちを打っていた報い? それにしてもいかにも不条理である。人生とはそういうものなのか。草葉の別役さんが笑っているような気がする。

    Pカンパニーの別役シリーズは本当に面白い。今作は1時間半くらいのコンパクトな舞台だから、仕事の合間にちょっと見てみるという楽しみ方もできる。

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    2024/12/06 17:32

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