避暑に訪れた人びと 公演情報 東京演劇アンサンブル「避暑に訪れた人びと」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    とにもかくにも本が最高
    しかし、オーリガとサーシャの棒読みセリフに次いで、一部のキャストに噛みや演技力の低さが目立ち、この劇団のキャスト不足を想像してしまう。チェーホフ劇といえばワタクシの中では「東京ノーヴイ・レパートリーシアター」の右に出るものは今のところ、ないのではないかと思っている。それだけに今回の「東京アンサンブル」との比較を楽しみにしていたのだが、この二つの劇団の差はキャストの実力にあるとしみじみ思う。

    上演時間3時間20分だったが時間の長さはさして気にならず、最初から最後まで途切れることなく集中出来た。たぶん、それは脚本のせい。笑)
    どちらかというとチェーホフの色濃い作品。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    劇場に入るとそこは深い森をイメージした舞台セット。生い茂る葉の合間から木漏れ日のように射す陽射しを描写するような直線の照明。そこは荘厳あらたかな静まり返った鬱蒼とした場所。そんな静かな美しい場所に富裕層といわれる人達がバカンスにやってくる。弁護士のバーソフが大きい別荘を借り、建築技師のスースロフが小さい別荘を借りる。しかしこの二つの夫婦仲はあまり宜しくない。

    彼らは何日もの間、ただただ暇をもてあましてはおしゃべりに高じ酒を飲み食事をし、嘆き愚痴をこぼしため息をついてるだけで何もしようとしないのであった。そんな中、暇を持て余した男女は既婚者だということを忘れたかのように、あちこちで愛を囁きあい、この別荘が密かな愛の巣になりつつあった。

    以前からこんな生活に疑問を抱いていたヴァルヴァーラ(弁護士の妻)は女医のマーリヤの誰もが真実を知ることを求めるという原則的な考えを持って毅然とした態度に魅かれ感化されていくも、そんなマーリヤの考えと態度は、バーソフやシャリーモフ、スースロフ、リューミンらを苛立たせた挙句、「女という生き物は動物に近い。我々男が女を一から教育しなくては駄目だ。」とのたまう。

    それを聞いたヴァルヴァーラは夫・バーソフの元を離れ社会貢献の為に学校を設立するというスースロフの叔父であるドッペンプンクトらと共に自立への道に旅立つのだった。残された男3人の「いったい何がヴァルヴァーラを怒らせたのか?」と不思議に思い、理解出来ないという態度が滑稽だった。

    何もしようとしないで時間を無駄に浪費している生き方に異議を唱え、願望や理想に沿うように生きなければならないといったヴァルヴァーラの主張は、世の中をうまく渡り歩いて来て挫折も知らない無自覚で無関心な夫・バーソフに響くはずもなく、男女間の感覚の格差の描写がお見事な不条理劇だった。

    ヴァルヴァーラを演じた桑原睦の演技力は絶賛するほどでひじょうに素晴らしかった。加えてバーソフの松下重人、シャリーモフの公家義徳が全体を引っ張っていた。セリフは少なかったものの、別荘番役の竹口範顕、三瓶裕史の演技が絶妙で彼らの吐くセリフが言いえて妙でもあった。笑


    2

    2010/09/16 13:15

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  • teeakira>
    コメントサンクス。

    >他の方のコメントや、やり取りなどをお読みいただけると、
    東京演劇アンサンブルの特徴は多少はご理解いただけると思います。

    いあいあ、観終わったあとの他の方のコメントは読んだことはありません。常に前しか見ていません。そんな暇もないのですよ。自分が見る前の「観てきた!」の詳細な投稿のみ読んで予習をし挑みます。しかし観終わったら今度は次の公演の予習(脚本が小説ならその原本を読みます)をしますので、そんな余裕もないのが現状です。苦笑!

    >翻訳の妙も付け加えたいと思います。
    まだ30代の、若い翻訳者です。
    (昨年、新国立劇場で公演した『昔の女』の翻訳で注目されています)

    その通りですね。海外の戯曲は翻訳にかかってるといっても過言ではないような気がします。

    >ぜひ、続けて次の作品もご覧いただければと思います。
    引き出しの多い劇団だと自負しておりますので、
    もしかしたら違った印象を持っていただけるのではと思います。

    ええ、ワタクシの隣に座った方とちょっと雑談させて頂きましたが、貴劇団の公演を観たのは4回ということで「走れメロス」の話題にも触れました。その方がおっしゃるには「今回のこういった公演は初めてではないか?」と話してらっしゃいました。
    次回も拝見したいと思います。
    引き出しの多さを確認出来ましたら、そんな嬉しいことはありません。
    期待しています。

    2010/09/17 01:42

    コメントありがとうございます!!

    最初にありますコメントは、
    ちょっと耳が痛いですが、
    他の方のコメントや、やり取りなどをお読みいただけると、
    東京演劇アンサンブルの特徴は多少はご理解いただけると思います。

    脚本の良さは言わずもがな、だと僕も思います!!
    劇団総会では、
    珍しく、反対なしで決定した作品です。
    翻訳の妙も付け加えたいと思います。
    まだ30代の、若い翻訳者です。
    (昨年、新国立劇場で公演した『昔の女』の翻訳で注目されています)

    技術的なことは精進いたします。
    ぜひ、
    続けて次の作品もご覧いただければと思います。
    引き出しの多い劇団だと自負しておりますので、
    もしかしたら違った印象を持っていただけるのではと思います。

    引き続き、どうぞよろしくお願いします。
    ご来場、ありがとうございました。

    2010/09/17 00:23

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