ロケット・マン 公演情報 劇団鋼鉄村松「ロケット・マン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     30周年おめでとうございます。こういう作品を劇団初期に初演していたとは。凄い!
    今回が3回目の公演、自分は初見で自分の考えていることと重なる部分もあり大変驚くと同時に楽しめました。残席の或る回もあるとか、ベシミル!

    ネタバレBOX

     劇団初期に書かれたということは30年近く前に、国家間の紛争や戦争を回避する手法として世界統一政府を樹立して国家VS国家の戦争を失くすことに成功。プロメテウス計画を立ち上げ推進して光速を越えようと実証・実験を繰り返してゆく。この実証・実験に欠かすことのできない証人が、今作の主人公である宇宙飛行士即ちロケット・マンである。今作の凄い処は、これだけ宇宙に関する科学的知識を持ち仮説を含め光速を越える為の論理を構築検証してゆく中で現代物理学で質量を持つ物は光速を越えられないという原理(これは相対性理論で最も有名な公式E=MC²を紐解いてみれば容易に分かる。今更だが一応説明する。因みにEはエネルギー、Mは質量、Cは光速である。要は質量とエネルギーは同質であり条件次第で物質にもなればエネルギーにもなる。光は電磁波の一種の波エネルギー。ところで質量とエネルギーは同質であるが物質が光速に近付けばその形態はエネルギーにより近づくから物質としては存在し得なくなる。これが質量を持つ物は光速を越えられない理由だ)をプロメテウス計画遂行の為に莫大な予算を注ぎ込み世界人口の半分以上は今や食うや食わずの極貧、教育も市民権等ヒトとしての諸権利もあったものではない。この貧民層から偶々エリートコースに掬い取られその内部でそれなりの地位を築いた者たちの中から中央エリートに敵対する勢力も育ってきていた。人類の半分以上を占める下層民が氾濫を起した時彼ら貧民をサポートし反乱の主導権を握り上層部の企てを破壊しようと蜂起した民心の念の深さとプロメテウス計画で探求される宇宙の奥深さのうち、どちらが勝るかについての答えも出して物理学から人間と科学の問題に巧みにすり替え、以て先に説明した物理学的正解ではなく、質量でない概念で光速を越えようとする論理を用いて形式論理として矛盾の無い形でとても観客に分かり易く軟着陸させてみせたシナリオの見事なこと。演出も切れのあり、役者陣の演技も良い。
     浦島太郎が抱えていたであろう果ての無い寂寥にも、より受け入れやすい答えが出せているのではないか。この点も見事である。

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    2024/11/30 09:06

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