実演鑑賞
満足度★★★★★
2024年11月の再演、上野ストアハウスで。
見逃していたので再演はありがたい。原発の「ゴミ」、高線量の放射性廃棄物の地層処分がテーマ。文献調査に手を挙げた北海道の自治体を舞台に、原発マネーで賛成派と反対派に分かれて街が分断される様子を描いた。
NUMO(ニューモ)が実名で出てくるのがおもしろい。地震国の日本に地層処分の適地があるとは常識的に考えられないが、適地を日本地図に落として自治体の手上げを待つなどというやり方で核のゴミを処分するのを「将来世代への責任だ」と言い張るニューモの担当者のせりふが利いている。
スナックと料理店という、地元の人が集まる場所に勤める人たちを登場人物にしたのがとてもいい。日ごろは同じ地元住民として仲良くやっているのに、放射能は怖いかもしれないがとにかく賛成、こんなものを地元に作らせたら破滅だと考える反対派に分かれ、「反対派の店」「賛成派の店」に分かれてしまう。原発マネーの罪深さをうまく浮き彫りにしている。
期待通りの切れ味で、再演を観られてよかった。トラッシュのファンでない人も、日本の原子力政策のいいかげんさを分かりやすく知ることができる。ぜひ見てほしい。