宙浮くカルト 公演情報 中央大学第二演劇研究会「宙浮くカルト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     実際に大きな事件を起こしたカルトをベースに入信した信者、教団幹部、入信者家族や教師等関係者を中心に描いた作品。最初の事件発生から既にほぼ1ジェネレーション。事件は我が国の不健全性の陰画と見ることもできる。

    ネタバレBOX

     ホリゾント中央にはラメのような光沢を持つ光背が掛けられ教祖の威光を高める演出が為されている。この光背の左右にはブルーの布が下がり出捌けに用いられる。また上手・下手側壁には黒幕で袖が作られこの2か所も出捌けとして用いられる他、演技スペースを広く取る場合は、テーブルやベンチを側壁にはめ込んで収納できるようにもなっている。室内は壁、家具類は基本的に白、教祖の座す椅子の膝から下の部分だけが黒い布で覆われている。 
     登場人物のうちカルト信奉者の衣装は白、教祖の衣装は黒っぽい。また司教も白い着衣だが上着にはかなり長い帯状の布を首回りに掛けて権威を現わしている。彼女がこのカルトの実質的推進派の中核を為しているのは教祖の実の姉であること、教祖に祭るのはジェンダーギャップのある社会では男の方が適当との判断からであろう。因みに教祖が訓戒を垂れる儀式の際は宙に浮く形を採っているが今作が実際に事件を起こしたカルト集団を下敷きの題材として用いており、事件を起こしたカルトの教祖は浮遊し得たとの噂が散々流されたからであろう。司教は入団者たちを新人類と呼びこれまでの宗教の如く既成の神を信仰の対象とするのではなく未来に生まれるべくして生まれる神を崇めることを目指しているが、今作で描かれるカルト内部では、入団者の間からも注射や薬物で五感の亢進性を高め一種のエスパーに仕立て上げようとするカルトの方針を問題視する意見が出、教団の掟に背いたと見做された者は殺害することも止む無しとの発想が強くなって教祖も姉とは異なる世間一般の道理に近い姿勢を取り始め遂には姉及び強硬派を追い詰める事態に至ってカルトは崩壊する処まで描き後日譚も描いて着地させている。
     これ以外にも序盤で血縁を否定しカルトの信者となった者を家族として接し他の諸々の社会的結束を断って自分たちの内部規範の内だけで行動し、判断する組織の道程を今作は中心に描いてゆくのであるが、入信した者達の殆どが学校の勉強は良くできるが、身内の関係(親子関係のミスマッチや親の愛情が子供に伝わらない等深刻極まる問題を抱えていること)が上手く行かないことが入信の契機となっていることの不気味もキチンと描かれている点は特筆に値しよう。警察や公安に親族が相談しようにも入信者本人の意思で教団の拵えた施設に家出をして移っているので個人の意思を権力がしゃしゃり出て規制するのも憚られるという、敗戦前の警察権力の横暴から来、敗戦後に曲がりなりにも民主主義国家を標榜して何とか被って来た仮面を剥がすわけにはゆかぬとの判断もあるのだろう。決して国民を守るなどという発想でないことは人権などあって無きが如き裁判や絶え間なく起こっているでっち上げによる起訴等の実例をみれば明らかである。何れにせよ、我が国が抱える様々な矛盾と国民無視の態度、政治の救い難さ、そして民衆の大多数の不甲斐なさが生み出したこのような不気味な事件を敢えてベースにして作った作品である。若者たちの健康な感覚がグー。

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    2024/11/18 22:23

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  • 皆さま
    ハンダラです、遅くなりましたがアップしました。
    ご笑覧下さい。

    2024/11/18 22:25

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