実演鑑賞
満足度★★★★
初めての「藍星良produce」公演だろうか。面白い。若い女性の等身大の姿を描いた青春群像劇。
タイトル「部活から羽ばたけ!Campus ☆ Idols」から緩いアイドルドラマかと思っていたが、けっこうシビアな現実を突きつける。或る小説にある人生の七味唐辛子…恨み・辛み・妬み・嫉み・嫌み・僻み・やっかみ、を思い出した。人生の 七味唐辛子は、人生の大事なスパイスで、たくさんの七味唐辛子を浴びせかけられて、人生に深みがでて豊かになるという。物語もそんな成長譚が描かれている。
大学 学園祭でアイドル部の活動発表をしようと…その回想として物語は展開していく。アイドルとしての意識や捉え方は、一人ひとり違い 大学の部活(趣味の範囲)から芸能活動(職業)を目指す、といった大きな隔たりがある。アイドル部として自分の居場所があれば楽しい、しかしグループで活動していくうちに将来どうするか。卒業後の進路、アイドル活動の継続、芸能活動全般といった将来を見据えた設定。さらに昨今の芸能事務所の暗部(パワハラ・セクハラ等)という話題性を取り込んだ着眼点が妙。
芸能事務所のプロデューサーが現れ、アイドル部へアプローチしたことで グループ内は揺れ亀裂が生じる。女の子の賞味期限(若さという魅力)は限られている、今しか出来ないことをしよう。夢を叶えるような甘美な響き、しかし その甘言には自分自身を見失う心の縛り、そんな危険が潜んでいる。
公演は、アイドルドラマらしい サイリウムを使った応援や手拍子等、お約束のイベントらしい演出があり、舞台と客席が一体となって盛り上げる。若い女の子が、そんなこと や あんなことで悩み苦しんでいるんだ、そんなリアル感情が物語を牽引していく。台詞の言い直しなど、拙いと思えるようなところもあるが、それが感情の迸りで言葉が詰まったようなリアリティを感じさせる。それだけ迫真/臨場感がある。
ちなみに登場する女性の多くはアイドルっぽい衣装だが、ラスト 藍星良さんは役柄もあろうが、キッチリとしたスーツ姿。そこに引き締まった思いを見るようだ。
(上演時間2時間 休憩なし) 【LOVEチーム】